トイアンナのぐだぐだ

まじめにふまじめ

「メシマズは自分の料理を美味いと思っているのか?」にメシマズの子が答えるよ

 

料理が壊滅的に下手な人、すなわち「メシマズ」は最早ジャンルとして確立したと思われるが、ちょっと調べてもメシマズさんを見抜くハウツー記事が出てこない。

 

メシマズと暮らせば『祖父母のメシは不味すぎて食わせられないと言われ、孫に会わせてもらえない』『離婚した』レベルまで至る悲劇なのに、見分け方が出てこないとはネットは70億総ライフハック社会じゃないのかよ?ライフが八苦になるんだぞ!と憤ることしかり。

もしかすると、メシマズ記事を見て笑っている人は「結婚前に料理を作ってもらえばすぐわかるのに、バカだなあ」とでも思っているのだろうか。だとすればとんだ誤解である。実家で母親に作ってもらった料理をタッパーに入れて持ち込めば「彼氏の家で絶品料理作りました!」と簡単に料理など偽造できる。あとはfacebookにタグ付けして《あの子料理できるよねムード》を醸成すれば完璧である。もしメシマズを簡単に見破れるなら、なぜメシマズという話題のカテゴリーが生まれたのか。

そこで私の実体験を元に、メシマズさんの見抜き方をここに遺言として残しておきたい。そこには「メシマズは自分のメシを美味しいと思っているのだろうか」という問いの答えもある。あなたが嫁ぐ前夜にでも見返していただければ幸いである。


◆メシマズの見抜き方1 計量スプーンを使ったことがない

メシマズはよく「目分量で調味料を入れる」。プロの料理人や専業主婦歴20年を超える人だったら話は別だが、20代そこそこで計量スプーンをないがしろにする奴は料理への態度を怪しんでおきたい。

別に目の前で計量スプーンを使ってもらわなくてもいい。ふとした瞬間に「大さじ1杯ってmlにしたらどんなもんかな~」と聞いてみればいいのだ。「大さじ」は計量スプーンでも使用頻度が高いので「15mlじゃない?」と答えられなければちょっといぶかしがっていい。なお「大さじ3杯」とかで訊かないように。単なる計算ミスを起こし、メシマズ誤判定をしてしまう可能性が高い。(私のことです)

 

メシマズの回答例

「いつも目分量だから使ってないしわかんない」
「大さじって大きいスプーンでしょ。5mlとかじゃない?」

☆目分量で測っている人には料理上手も混ざるので、別の判定方法を踏まえてメシマズチェックをすること。


◆メシマズの見抜き方2 マズさを理由に料理を捨てたことがない

メシマズは味見をしない。これは2ちゃんねるメシマズ板にも集約された偉大なる結論のひとつである。とにかくあいつら、ご飯を人に出す時に味見をしないのだ。

ではメシマズ自身は自分の料理をどう捉えているのかというと「今回はいまいちだけど、オーガニック食材だから健康にいいし食べよう」「余り物が処分できたからオッケー☆」と、味以外の理由で捨てずに食べることを選択する。

まだ完食する人間は善良だ。最悪のメシマズは「自分で料理を作っていたらおなかいっぱいになっちゃって」と味見していないものを人に出してくる。で、後で本人は菓子パンを食べていたりする……。

 

いずれにせよメシマズは「自作の料理を味見したらマズかったので捨てた」という経験がない。料理の味はご飯を捨てる理由にならないのである。だからこそ他人にも死ぬほどマズいものを「健康だから」「賞味期限もあるし」「見た目可愛いから」と押し付けられるのだ。なるほど味だけが料理じゃないよね!価値観の優先順位の問題だね!私は味が一番大事だと思う!

メシマズ判定をするためには「自分で料理作ったらマズくて全部ゴミ箱行きになってさ。失敗って誰にでもあるけど凹むよね」という話をふればいい。料理上手な人だって、過去に失敗経験はあるはずだから普通は共感してくれるに違いない。

 

メシマズの回答例
「失敗したときはお父さんに食べてもらってたからな~」
「捨てるのはもったいないよ!せっかく作ったんだし全部食べてるよ」


メシマズの見抜き方3 かけた努力の量イコール美味しさだと思っている

メシマズの特徴は「料理をする」うえに、料理に対して「努力する」ということだ。別にズボラじゃないのである。それでもマズくなるのは「努力さえ費やせば美味しくなる」という信仰心を持っており『謎のちょっとしたひと手間』『腐った食材の再利用』など明後日の方向へ努力するからである。したがって料理スキルのひとつである「余りものをどうするか」について質問すると、努力の方向性を判定することができる。

 

質問者「料理するとちょっと食材って余るよね?あれどうしてる?」

料理できる人 「食材が残らないよう、栄養を考えて追加で何品か作ってる」

普通の人 「残り物はサイドメニューにするか冷凍してる」
料理が苦手な人 「一生懸命レシピを見て作るけど、食材が残って困っちゃう」
メシマズ 「残り物は作ってる料理に追加するから出ない

 

料理ができる人は「残り物を出さないように」バランスよく品数を増やす。そして料理が苦手な人ほど、余った食材を持て余し「あと1品が作れない。けど食材がダメになっちゃう」と悩むことになる。 

だが、メシマズと「料理が苦手な人」は別の生き物だ。メシマズは料理の味を犠牲にしてでも残り物を処分するのが正しい!という価値観を持つため、1品料理に余った食材なども全部ぶちこんでしまう。

普通の料理をする人なら「それは合わないだろ」と思う食材も、「これも料理に対する努力のうち」と珠玉の1品へ追加してしまうのだ。こうして闇鍋カレーや闇筑前煮、闇おでんが生まれる。(ミスター味っ子の悪役メニューかよ)

というわけでメシマズを判定したかったら「一品料理作るとどうしても食材って余るよね?どうしてる?」と質問するのがいいだろう。


ここまでメシマズの判定方法を書いてきたが、最後に「メシマズは自分の料理を美味いと思っているのか」という問題に触れておこう。(id:white_cake さん、問題提起ありがとうございます)ここまで書いたとおり、メシマズにも味覚はある。「何でもソースをかける」「何でも砂糖を入れる」味覚滅亡系のメシマズでなければ、普通に料理を味わう能力を備えている。なお、味覚滅亡系のメシマズは一家揃って味覚がないため、相手の家へ行けば一発でわかるはずだ。

 

だが、大多数のメシマズに共通するのは「味を料理の最重要項目に置いていない」ことだ。メシマズは「残り物を使い切る」「オーガニック」「栄養バランス」「見た目」などを最重要視する。それぞれは料理をする上で気を使いたいポイントであるが、普通の人ならば「味の次」に考えるはずだろう。だが、メシマズの優先順位では、味より先にこちらを取ってしまう。

だからメシマズに料理を美味しいと思っているか質問してみると、答えは『メシマズにも味覚はあるし、料理は美味しくないかもしれない。だが味がなんだと言うのかね?』である。私の母は「ワインが余るともったいないから」と白と赤を一緒くたに混ぜて飲んでいた。「まずくない?」と質問したら「そりゃまずいけど、残せないでしょ」とスイスイグラスを開けていった。なんてエコなの母さん。でも、メシマズ。

 

そんなところで、今日はお開き。メシマズだった私の母はどんどんご飯が美味しくなっているので、この物語はハッピーエンド。最近は茶豆の煮浸し、キュウリのキムチ和えなんて作ってくれるようになって感動している。今年は、帰省します。

 

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