トイアンナのぐだぐだ

まじめにふまじめ

アラサー7人で老後2,000万円を貯める方法を考えた

5月。新宿某所に、アラサーが7人集まった。

全員1987年生まれという以外は、これといって共通点はない。学歴や仕事もバラバラ、既婚から独身まで。だが彼らには、同じ課題があった。

 

「老後の資金を貯めたいが、何をどうしたらいいか分からん」

 

そこでお互いの知見をぶつけりゃ何とかなるだろうと、7名集まったのである。これは、いい大人が老後2,000万円のために何ができるか真剣に話した議事録である。

 

 

パチだって、スロだって、したいんだもん

ひとまず、みんなが知っている投資を書き出してみた。

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投資の全体図

 

パチスロとか明らかに余計なもの入ってるじゃねーか!!

 

Aさん「だってさ、パチスロも大事だよ?たまに大当たりあるしさ、何よりアドレナリンが出るよ? アドレナリンが出るって人生じゃ大事でしょ?」

 

確かにアドレナリンは大事だ。生きる希望がなくては、老後まで生きながらえても意味がない。リスクとリターンさえ理解できていればいいのだ。

 

Bさん「まてまて。この表はこうなるべき」

と、Bさんがいくつか書き足した。

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投資の全体図2

 

競馬を足すな!!

とは思ったが、私も競馬は統計的にさえ処理すれば堅実に儲かることは実証したことがあるんだよね……。醍醐味が一切感じられないからやめたけど。全然楽しくない投資方法だけど、入れておく分には自由だ。だって、それがアラサーのリアルだから。

それに、パチスロも競馬も、下手すりゃ銀行口座の残高よりマイナスになるFXや先物取引よりはマシだろう。あれ、マシってなんだっけ……?

 

真面目な投資はインデックスで

真面目な話に戻ろう。「貯金よりちょっと上」の堅実な投資なら、eMAXIS先進国株式インデックスが大人気。(同シリーズにeMAXIS Slimもあってそっちも人気)堅実な投資といえば……の代名詞といえば必ず出てくるインデックス投資日経平均などの「指標」と同じ値動きを目指すインデックスファンドへ投資するやり方だ。小額ずつ、まとめて数千単位の株を買うのと同じで、リスクが少ない。

また、長い目で見れば日経平均やダウなどは上がり続ける。と、言われているだけで第三次世界大戦なんかがあったらもうわからない。が、そんときゃ投資も何も日本円の貨幣価値がぶっ飛びそうだから考えるだけ無駄。

 

長期保有ができるなら、忙しい社会人にとって便利だろう。eMAXISシリーズは中でも手数料が安く、7人のうち2人が投資していた。

 

ちなみに私は買っていない。なぜなら私はもっとリスクを取ることでリターンを見込みたいからだ。

 

ミドルリスク・ミドルリターンはREITETF

インデックスのように「複数の銘柄へ少数ずつ投資してリスクは下げたい」と思っているが、もう少しリスクをとってもいい」と考えていたのは私を含めて2名。中でもETFREITに分かれた。

 

ETFインデックス投資に近い投資信託だが、上場しているため株と同じように取引できるのが特徴。REIT(リート)は不動産のインデックス投資みたいなものだ。それぞれのメリット、デメリットは申し訳ないが独自に勉強してくれ。私は究極のめんどくさがりなので勝手に積み立ててETF等へ分散投資してくれるWealthNaviをやっているけれど、手数料を考えたらeMAXIS先進国株式インデックスの方がいい気も。

 

各投資法がどれくらい違うのか知りたければ「金融商品名+シミュレーション」で検索すると同じ額を放り込んだときに、どれくらいの額になるか見せてくれる。

たとえばWealthNaviで月10万円を30年貯めれば、貯蓄なら3,600万円のところを4,000万円くらいになるかなあ……という試算を私は立てている。夫を養う前提なので2人で4,000万。

 

ただ、月10万円貯め続ける人生、おくれるのかなぁ……。こればかりは、どうしようもない。頑張ります。

 

ハイリスクの投資をするくらいなら起業

7人のうち、何らかの起業に携わっていたのは2名。起業はリスクとリターンのグラフに入れると振り切れるくらいのハイリスクにもなりうる。なのになぜ始めたのか?2名とも「どうせハイリスクを取るなら、FXより会社作っちゃった方が楽しいでしょ」というスタンスを持っていた。

情熱なき投資よりビジョンある起業という気持ちはわかる。アドレナリンが出るし。

 

人生でアドレナリンを出す方法は3つある。パチスロか、FXか、起業だ。

 

独身に保険はいらない?

意外と盛り上がりにくかったのはiDECOiDECOは「非課税なのはうれしいがその分老後まで確実に塩漬けという大きなコストを払う」のが不評だった。だったらいざというときに動かせる資金で投資をしたいということだろう。

 

同じく契約してから受取まで期間が空いているものに保険がある。生命保険は「いざ申請してからいちゃもんつけられてハネられない」ことで人気の日系大手保険会社か、プルデンシャル生命に二分された。プルデンシャル生命はかつて定額で一生涯の保障がついた保険があったらしい。うらやましい……。最近の保険は10年単位で契約更新となり負担額が変わってしまうので、早めに入るメリットを感じにくい。

 

ただ、共通していたのは独身に保険は不要、だったらその金を投資に回していざというときの資金にすべし……という考えだった。

確かに30代は体を壊す確率が低いからこそ、保険金も安いのだ。私はフリーランスだから手厚い医療保険に入っているが、会社員なら福利厚生次第で不要という考えもある。

 

相続では遺言より遺留分が優先される

最後に相続の話題。晩婚の親だとそろそろ相続を話す時期となる。親は遺言を残せばなんとかなる……わけではなく、遺留分といって親族はあるていど「最低もらっていい」分が決まっている。たとえば配偶者は1/2、子どももいればそれぞれ1/4ずつは遺留分となり、申し出れば受け取れてしまう。親が子を勘当しようが絶縁宣言しようが、遺留分は渡さねばならない。

 

だから確実に渡したい遺産は、生命保険で受取人指定したほうがいい。ここで既婚者は生命保険を選ぶ理由ができる。

逆に親と仲が悪ければ、死後すぐに遺産相続を放棄しないと借金を背負わされるリスクもある。

 

なお、「遺言はポエムちっくに書くと家族が納得して遺留分を無視しても合意しやすい」というアドバイスを得た。いざ遺留分を超えても渡したい相手ができてしまったら、遺言状にポエムを書いて願いを託そう。親のポエムは想像しただけでしんどいが、いざ死ぬと感傷的に聞けるのかも。

 

なお、親がいくらせっせと遺言状を書いても、いくつか条件を満たさないと法的に意味がないので要注意。書くのは面倒だけれども、書かないよりは楽である……遺族が。つまり、アラサーはいかに親へ遺言状を書かせるか、問われている。

 

 

続きはこんど、泊りがけで話すことになった。それぞれ投資や副業、介護について勉強してから挑む予定。ちょっと、楽しみだ。

 

※この記事は特定の投資方法や金融商品を勧めるものではなく、また購入後の利益を保証するものでもありません。投資には元本を失うリスクがあります。必ずきちんと勉強してから始めて下さい。

また、金融商品を売買する資格を持った方に、きちんと相談してから購入されることをお勧めします。

金融系の商品を調べるとアフィリエイトサイトが多くみられますが、鵜呑みにせずあくまで自学自習の糧として利用されることをお勧めします。

 

 

私が知識ゼロから投資の勉強を始めるために買った本。

 

株を買うなら最低限知っておきたい ファンダメンタル投資の教科書 改訂版

株を買うなら最低限知っておきたい ファンダメンタル投資の教科書 改訂版

 

 

これはフリーランスの人におすすめ。年末泣きたくなければ今買っておいたほうがいい。絶対。

 

フェミニストであることに疲れた。

 

最近思う、もうフェミニストやめたいなと。

 

もともと、フェミニストは資格制度でもなんでもない。ざっくり言えば、女性の人権を求めて何らかの言動をする人のこと……くらいに思ってもらって構わない。

 

そして、その中には過激派と穏健派がいる。過激派は「ラディカル・フェミニズム」と呼ばれ、ポルノの弾圧やこれまで自分たちの人権を奪ってきた男性からの復権を訴える。

対して穏健派の「リベラル・フェミニズム」は、弱者男性(KKO=キモくて金のないおっさんという、最も支援の手が届きにくいとされる方を指す界隈の用語)らとも組んで、男性だから稼げ、女性だから家事をやれといった性差別からみんな解放されて楽になろうよ、という立場だ。私はがっつり後者で、リベラルどころか「ゆるふわフェミニスト」くらいの位置づけにいると思う。

 

ゆるふわフェミニストから見た世界

専業主婦になりたい人はなればいいし、共働き志向ならそれもいい。私はむしろ主夫が欲しいタイプだ。だから「男が女を守るべし」「嫁さんに食わせてもらうなんてヒモじゃないか」という言説にはモヤモヤする。家事をやる人間をヒモ呼ばわりしないでくれ…それがたとえ妻でも夫でも、と。

 

さらに、フェミだからって四六時中"男女は同じ"と割り切って生きられるほど私は強くない。人生で何度も自分がパートナーに「男らしく」リードされたいと感じたことがある。そして実際に荷物を持ってもらったことが嬉しかった。

今のパートナーも同じで、普段は私の男女平等意識を楽に感じるらしいが、エスカレーターで下の段に立つとか、重い荷物を持つといった思いやりの面で、ある程度ルールがあると安心するのだという。確かに、それまでお互いエスカレーターで「どうぞどうぞ」とやっているのは面倒だった。

 

人生の中では男社会に染まったこともある。激務に身をやつして、仕事のために家庭を捨てることに焦がれた。

最近は育休を取得して転換を命じられた方が揉めたが、かつての名誉男性らしい自意識に染まった私なら、それを当然と思ったかもしれない。そこから体を壊す先輩を見て「やっぱりみんな楽に暮らせる方がいいや」と思い直して今の私がいる。

 

こんな風に、私のフェミニズムはブレブレで変則的だ。私はフェミニストかもしれないが、フェミニズムのために生きているわけではない。価値観が変わっても、身近な人とお互い納得していればいいじゃないか。

パートナーが変われば相手の希望する「男女観」も変わるし、そこでお互いが許容できる範囲なら、それも多様性ってことで。と、ゆるふわフェミニストは思っていた。

 

それでもフェミニストを名乗っていたのは、「相互がOKならええんちゃうの」を超えてマスメディアで"男たるもの/女たるものかくあるべし"と発信されるのにはうんざりしていたからだ。そんなのは当事者が決めることだ。マスメディアで大量に「男に愛される3つのテク」なんてものばかりが報道されたら、世間のプレッシャーが増すじゃないの。

 

私は恋愛ライターなので、「愛されテクについて書いてくれ」と依頼をいただくこともある。そういうときは結論に「確かにこれら3つのテクを使えばモテるけど、それで幸せなの?それでいいの?」とサブリミナルのように疑問を呈してきた。

 

だが、ゆるふわフェミニストは、生きづらいのだ。

 

沸き起こるフェミ vs アンチフェミ抗争

最近、ネットでフェミニストが目立ち始めた。かつての #metoo は私も革命だ! と喜んだ。発信者の属性でバッシングされたりもしたが、過去の性被害を訴える権利は誰にでもある。そのともしびが消えなければよいと思っていた。

 

しかしいつからか、ネットの過激なフェミニスト vs 反フェミニストの争いが始まった。「フェミニズム側だし……」と発信者の発言を見ても、正直うーんと言わざるを得ないものが目につく。

 

男を休日ゴロゴロさせるような妻は女の皮を被りながら男尊女卑に加担する"名誉男性"だ、女の業績を批判する人間は女でも名誉男性だ、などなど。いやあ、それただのミサンドリー(男性嫌悪)ですやん……。

 

中には過去、性犯罪の被害にあった経験を語るフェミニストもいた。そういう過去があったから、傷つくのもわかる。同じ属性の人間を恨みたくなるのもわかる。けれど、過去の傷つきは、未来の誰かを傷つける権利にはならない。当人たちはまだ傷つきから癒されていないだろうから、いま言っても焼け石に水だろう。だが彼ら・彼女らに必要なのは医療であり、フェミニストの剣ではない。

 

 

そして、彼女たちの発言は目立つ。過激だからだ。ISILがイスラム教徒全体のイメージを損ねたように、過激なフェミニストのせいで「ゆるふわ」なんて言ってられなくなった。「これだからクソフェミは」とこっちまで反対派の火の粉が降ってくるからだ。

 

だから、もうフェミニストやめたいと思っている。私がフェミニストをやっていたのは、崇高な理想のためではなく自分が稼いで夫を食わせても、夫をヒモと呼ばせないためだ。自分をかわいそうな女と思われないためだ。私は私の利益のためにフェミニストになり、そして利益のために辞めようと思う。フェミニストのラベルを私の思想から外して、ゆるいリベラルになりたい。

 

ただ心残りなのは「妊娠したから昇進はあきらめろ」と言われた友人たちのことだ。彼女らのような人がまだまだたくさんいるなら、これからも女性は意図せず会社から独立し、フリーランス等で生計を立てねば年収を維持できないだろう。

同様に育休を取った男性、発達障害に悩む方などもこれまで社会から見えずドロップアウトさせられてきた。だから細々と、彼ら・彼女らのキャリア支援ができればうれしい。それがゆるふわフェミニストとして、かすかに残った情熱だろうか。

 

元来女性は太陽だった。この世に男と女、トランスその他と沢山の太陽があったっていいじゃない。そんなゆるい世界で、私は生きていきたい。

 

 

 フェミニスト関連で読んだよかった本たち。どれも差別と戦ってるけど光が見えて勇気が出る。

82年生まれ、キム・ジヨン (単行本)

82年生まれ、キム・ジヨン (単行本)

 

  

フェミニスト・ファイト・クラブ 「職場の女性差別」サバイバルマニュアル

フェミニスト・ファイト・クラブ 「職場の女性差別」サバイバルマニュアル

 

 

バッド・フェミニスト

バッド・フェミニスト

 

 

 

セクハラで女性が加害者になる日

先日、男性の5人に1人が「就活セクハラ」を受けていることが明らかになった。

セクハラはこれまで「男性が女性に行うもの」という印象が広まっていたため、この数字に驚かされた方も多いだろう。

 

news.yahoo.co.jp

 

しかし、男性自身も「これはセクハラだ」という認識が薄いまま、これまでもセクハラは横行してきた。代表的には、こんな例が挙がる。

 

・風俗通いの強制

「さあ3軒目は風俗いくぞぉ~! あ、お前帰るの? そこは空気読めよ」

 

・ゲイとして辱める

「あいつさあ、なんかなよなよしてるし、実はゲイなんじゃない?」

 

・童貞いじり

「〇〇君って、彼女いるの? あ、ずっといないの? マジか、てことは童貞?」

 

・顔をけなす

「〇〇君はいいよね、イケメンだからさあ……人生楽してきたんでしょ」

 

・性的関係の強要

「やだ、どうしても帰るならキスして帰って。じゃなきゃタクシーおろさない」

 

これらはいずれも、私が男性から相談されたことのある被害だ。そして、「風俗通いの強制」を除くと加害者は男女のいずれもいた。女性も昔から、セクハラの加害者だったのだ。

 

見えてこなかった女性のセクハラ加害

ではなぜ、女性のセクハラ加害がハイライトされてこなかったのか。それはセクハラが「権力がある側からない側に行われがち」だからである。女性の管理職比率は2017年で11.5%。しかもこの数字には部下なしの名ばかり管理職も含まれる。権力の場に立たされないからこそ、加害者になることも少なかったのである。

 

さらに、男性の被害は矮小化されやすい。そもそもなぜ私が男性の性被害の相談をうかがうかというと、「男性同士で相談するとバカにされやすい」という背景があるからだ。実際に相談してくれた男性はこう言った。

 

―上司からずっとセクハラを受けてるって、仲のいい先輩に相談したんですよ。そしたら先輩に「マジ? お前ラッキーじゃん? 今彼女いないんだろ? その上司と付き合っちまえよ」と言われてしまって。あの時は会社へ行くだけで吐き気がするようになって、全然眠れなかったんですよ。その状況で茶化されたのがすっげえショックでした。

 

この男性は1年悩んだが、女性上司から体の関係を求め続けられることに嫌気がさして退職した。社内では誰にも相談できなかったという。

 

自分でも身構えてしまってましたね。「男がそんなことを言うなんて恥ずかしい」って。上司にチクったのがバレたらどうしよう、とも思いました。泣き上戸な人なんで、たぶん社内で泣いちゃったりするだろうなと。そしたら悪者になるのは絶対に俺だなって。

 

―その人は仕事もめちゃくちゃできて、担当した部門の成績が3年連続で二ケタ成長してたんです。そんなときにセクハラでその上司をチームから外しちゃったら、売上絶対下がるし、なんてことしてくれたんだ、ってムードになるのも分かってましたし……。

 

セクハラの加害者はえてしてビジネス上は有能である。だからこそ被害側は告発すると「セクハラごときで重要なポジションの人間を外しやがって」と他の同僚に思われないか……と不安を抱いてしまう。

就活セクハラでも考えることは同じだろう。「たかが学生ごときの自分が、社員さんを、ひいては会社を傷つけることを言っていいわけがない。後輩の採用にも迷惑がかかる」と被害者は思い、泣き寝入りする。

 

女性からの加害だった場合、被害男性は上記に加えて「女に被害に遭わされるなんて恥ずかしい」「痴情のもつれをセクハラと言い換えただけではないか」「据え膳食わぬは男の恥」といった、男らしさのイメージに振り回され、泣き寝入りを選びやすい。だからこれまで、女性の加害は可視化されなかった。

 

女性にも希薄な加害者意識

また、女性当事者にも加害者意識は少ない。これまで「セクハラは女性が受けるもの」と教え込まれてきたからだ。そして、ここで謝罪したい。私もかつて童貞を揶揄する文章を書いてしまったことがある。

 

「童貞が自分が童貞であることをネタにしているのだから、童貞はいじっていいネタなのだ」と思い切り勘違いしていたのだ。しかし「女性が自分がいい年して処女なのをネタにしているから、他人がその女性の処女ネタをいじっていい」わけではないのと同様に、童貞いじりをしていいわけではなかった。私が間違っていた。

 

それから心の中で反省するだけでなく、具体的にできることを考えた。職業がライターなのだから、書くべきだろう。そう考えて「童貞をいじるのはセクハラ」「童貞が同性異性問わず、誰かからいじられる社会をやめていこう」という文章を書いている。

 

これまでの過ちは、私が不勉強だっただけで言い訳の余地はない。だが、これから政府の方針通り女性管理職が30%まで増やすなら、女性がセクハラの加害者になることも増えるだろう。セクハラは性差で起きるものではなく、権力を握った人間の一部が超えちゃいけないラインを見誤って起こすものだからだ。

 

性差を超えた「セクハラ教育」の普及が必要

男性が保健体育の生理の授業では他の講義を受けさせられたように、女性はこれまで「セクハラ」の授業から遠ざけられてきた。女性は被害にあったシチュエーションだけの対応を知らされ、「危害を加えない」方法は教わってこなかった。

 

だからこそ、これからがチャンスなのだ。男女ともに、被害にあったら声を上げていい。それが有能な人でもだ。社内で有能だからこそ、「セクハラをしても許されるだろう」とそいつは考えている。訴えていい。その結果セクハラをしない・有能な社員に変わるチャンスはいくらでもあるのだから。

 

そして、「自分が加害者にも、被害者にもなるかもしれない」という意識が男女ともに広まれば、世の中はもっと楽になるだろう。男性が痴漢に遭うこともあるし、女性が男性をレイプすることもある。男女問わず「こんなことがあって、つらかった」という相談が「つらかったね」と受け止めてもらえる社会まで、あと少しだ。

 

※このブログを書いたのは2019年5月30日の夜なので、続報があってニュース記事の中身がひっくり返っていたら申し訳ございません

 

すごく久しぶりにブログを書いたので、こんな人間ですよって自己紹介代わりに書籍貼っておきます。

就職活動が面白いほどうまくいく 確実内定

就職活動が面白いほどうまくいく 確実内定

 

 

 

離婚して、わんわん泣ける女になりたかった。

離婚した。12月上旬に夫から別れを切り出され、びっくりしながらも「好きな人が別れたいと言い出したのに、反対する理由もないな」と妙にしっくりきてしまった。結婚してぴったり3年の元旦。手を繋いで区役所に向かった。「並んで離婚届掲げて自撮りしようよ」という提案はさすがに却下された。

離婚後、夫とワインを飲みながら「これでよかったんだ」と思った。その後も何度か、共通の友人と一緒に会った。私たちはいつもどおり仲良しだった。

 

「離婚しそう」という話を聞いて、友達が何名もすっとんで来てくれた。そのうちの一人は、即座にカラオケへ私を引っ張っていき「何も考えなくていいから、曲のタイトルでしりとりをしよう」と、選曲ですら脳を空っぽにさせてくれた。カラオケって失恋の曲が多いから、下手に曲目を考えると落ち込んでしまう。だから「しりとり」なんて単純明快すぎるルールで、私の脳を止めてくれた。

 

同じ友人が元旦からパソコンをうちへ持ち込み、ひたすら仕事の話をした。はたから見れば地獄のようなお正月かもしれないけれど、空っぽになりそうな私にとって、仕事が時間を埋めてくれるのはこれ以上ないくらいありがたかった。

 

仕事、カラオケ、仕事、カラオケ。三が日が過ぎるころ、私は元気になっていた。

 

いやちょっと待てよ。

あまりに切り替えが早すぎないか。私は彼を6年も愛していた。彼のために外資系企業・正社員という堅牢なキャリアを捨て、海外へ付いて行った。彼への愛をでろでろにツイートしまくり、友達には彼の一挙手一投足をのろけてきた。好きだ、好きだった。なのに何なんだこれは、私はアンドロイドか。

 

私はもっと、わんわん泣いて「彼無しには生きられないの」とわめく女になりたかった。心配して集まってくれた友達に「ごめん、なんか元気」と笑えるような、鋼のメンタルが欲しいわけではなかった。これではまるで、最初から愛などなかったみたいだ。今でも未練たらたら愛しているはずなのに、私は普段通りに仕事をしている。

 

彼は言った。「次に付き合うなら、米系外資っぽい詰めをしない女がいい」と。笑っちゃうようなフィードバックだけれど、全然笑いごとじゃない。彼はきっと、わんわん泣いて「助けて」って言ってくれる女が良かったんだ。私は彼と一緒に戦える女ではあったけれど、彼をつらかったね、とひっくるめて抱擁する女ではなかった。

 

過去に私と付き合ってくれようとした男は、口々に「私を守りたい」と言った。けれどそのたびに私は思ってしまうのだ。守られるほど弱くない、と。もう30歳なんだ。もうここまで生き延びてしまったんだ。幼少期がつらかったとか、仕事つらいとか泣いてる女の子には、もう戻れないんだよ。

 

分かっている、もう戦闘民族だって。男の後ろで「助けて」って震えられる女じゃないって。それが彼を傷つけてきたことだって。私は守られる女にはもうなれない。けれど離婚したときくらい、わんわん泣ける女になりたかった。

 私にあこがれる、と言ってくれる人がいる。彼ら・彼女らは「強くなりたい」と言う。けれどこんなとき、守ってほしいと泣ける女性が羨ましくてたまらないんだ。

 

 

離婚直後。三が日のカラオケで、Avril Lavigneの My Happy Endingという曲を入れた。歌詞は「ザ・失恋」って感じのテーマで、それを歌っている私を、友達はしんどそうに見つめていた。けれどこの曲には、全然別の意義があった。

 

これは私が17歳でレイプされた直後に聞いた曲だったから。

 

東京、2004年8月23日。留学から一時帰国していた期間。知らない人に手を引っ張られて、そのままレイプされる。絵にかいたような被害だった。終わってから路上に放り出された。拡声器で音楽が大量に流れていた。So much for my happy ending(私のハッピー・エンドなんてこの程度なんだ)という歌詞。何もかもが気持ち悪くて吐いた。どこまで吐いても汚いままだった。

 

このときも私は、泣けなかった。誰にも何も言えなくて数日後に首を吊った。搬送された病院で目が覚めると、カウンセラーもどきのおばちゃんが横に座って「いろいろあって大変ね、私も自分の息子が大学3つも通っちゃってどこに入れるか悩んでるの」と動けない私へ垂れ流した。

 

親、教師、誰もが怒り狂っていた。警察へは行けなかった。イギリスの高校へ一週間遅れて帰った。全校生徒72人しかいない高校では、親から連絡を受けた教師づたいに学校中が私の噂をしていた。はー地獄だね。でも人生そんなもんだよ。泣いても、泣かなくても明日は来ちゃうんだ。何度か自殺未遂をしながら、こうして私がいま生きているように。

どんなに高い山に登っても、こうして理不尽な谷底に突き落とされるんだ。当時の私はそう思っていた。

 

でも今は違う。元旦から寄り添ってくれる友達がいた。「バツイチって死ぬほどモテるよ」と教えてくれたお姉さま方。激務の合間を縫ってタクってくれた友達。2時間だけだけど、と旦那さんを放って会いに来てくれた人。「お前は本当にダメだな!」とプリプリしながら12時間も本屋を巡ってくれた友人。大丈夫ですか、と心配してくれたお取引先の先輩方。

だから、歌えた。So much for my happy ending(私のハッピーエンドは、こんなもんだ)と。むしろ Too much だよ。十分すぎるよ、こんな人生。ありがとう。私はもう大丈夫。離婚をしたけれど、私の世界には愛しかない。

 

 

 離婚直後からずっと聞いている曲。三が日のカラオケをきっかけに欅坂ファンになった。コンサート行きたいけど、チケット激戦なんだろうなあ。

世界には愛しかない(通常盤)

世界には愛しかない(通常盤)

 

 

 

在英6年の経験者による長期旅行者・在住者向け「イギリス暮らしの基礎知識」

イギリスから帰国しました。昨年移住してから約1年半。ずいぶんとあっさり帰国しましたが、学生時代から累計6年ほど住む機会に恵まれたことに感謝しています。

そこで帰国がてら実際の生活に役立つツールをリストアップしておきたいと思います。またイギリスに行ったとき、自分が忘れないためにも。 

 

 

銀行口座を作る

最初の関門、銀行口座づくりです。イギリスでは非現金社会が到来しており、なにはともあれデビットカードがないと動けません。また、その際はイギリス国内の口座が求められるため日本のクレカだとはじかれること、多数。まずは口座を作りましょう。移住はそれからです。

新参者の我々には、financial history(これまでお金を国内で使い、信頼のある顧客と認められるための経歴)がありません。ですから口座開設にも「私は変な外人じゃありません」と認めてもらう必要があり、なかなか面倒です。人によっては17回も面談に行ったという猛者もおり、大変手ごわい。

難易度低めなのがスペインに本社を持つSantander(サンタンデール)、Lloyds Bank(ロイズバンク)。いずれもいきなり窓口へ行ってもダメで、まずは面談を予約する必要があります。面談時、持ち物は以下の通り。

 

■■■ 最低限必要 ■■■

Proof of Address (住所を証明できるもの。自分が契約した賃貸契約書コピーまたは学校・職場が発行してくれる)

Utility Bill (公共料金の支払い証明。夫婦で渡航するときも自分が口座を開けるよう、あえてバラバラの名前で契約したほうがよい。電気、ガス、水道が認められる。場合によってはネット料金も認定される)

 

■ あるとなおよい ■■■

National Insurance Letter国民健康保険の番号を知らせてくれる手紙。あればベターだが求められないことも多い)

Bank Statement(預金残高証明書。日本のものでよい。英訳が必要。ビザ申請で使われてしまうので、数枚余計に取得しておくべき。Santanderでは不要だったが担当者しだいの緩い国なのでもっておいた方が良い)

Headed Letter(職場・留学先を証明するレターフリーランスは一番苦しむところ。最大手取引先に泣きつくしかないかも。求められないことも多いので面談でハネられてからでよい。署名つきの原本でないと不可なため、郵送で1週間まつことに……)

 

面談では何のために使うのか説明を求められますが、For my daily expenses.(生活費で)で普通に通りました。もしくは For my salary.(給与のため)でも大丈夫でしょう。留学生なら My parents want to send fees. (親が費用を振り込みたいから)も無難です。ざっくりどれくらいの金額を扱うか質問されますので、英会話が苦手な人はメモにでも書いておくとよいかも。年収もセットで聴かれますが、学生はゼロでOK。

 

カネを日本から送る

海外送金はまず在住者がぶつかる壁です。「え?いつもの振込じゃ無理なの?」と思って渡航すると大変後悔します。私はしました。日本のメガバンク(みずほ・UFJ・三井住友)を使うと送金・受取手数料で合計5,000円以上かかります。

しかもオンラインバンキングで海外送金をするためには事前に特別な手続きが必要で、準備に1ヵ月弱かかります。転勤命令を出されたらすぐに動かないと間に合わないレベル。しかも自宅へ手続きに関する書類が送付されるので、ビザの申請などであちこち外出している準備期間にはかなりのストレス源となります。

 

「なら一時帰国時にやればいいや」と思うじゃないですか。でもそのとき、海外在住者のあなたにはマイナンバーが失効しています。口座開けません。THE END。

そこで最近はTransferwiseを利用する方が増えました。

transferwise.com

 

Transferwiseは日本の銀行口座から日本のTransferwise口座へ振り込むだけで、海外口座へ同額を振り込んでくれるサービスです。手数料も最安。テクノロジーに感謝。ただし手続きの言語に英語が混ざります。「英語無理、怖い」という人は、楽天銀行であらかじめ手続きされるのが国内最安でしょう。それでも合計2,000円ちょっと取られますが……。

 

日本食の入手

長年、ロンドンにあるJapan Centre(ジャパンセンター)やらいすわいんをはじめとする日系スーパーでしか日本食は買いづらいものでした。ロンドン在住者はそれでいいのですが、留学先などの都合で郊外へ住む方も少なくありません。そこで大活躍しているのがOcadoです。オンラインス―パーで、日本食餃子うなぎしいたけえのき大根かぶ豆腐さば缶まで扱っています。(とりあえず私がリピートしまくった製品へリンク貼らせていただきました)

なお、現地の普通のスーパーでもそばやうどん、みりんくらいまでは手に入ります。日本から買い込んでいく食料は「最新のお菓子」「だし」「乾燥とろろ・ゆず」など限定されたものになるでしょう。主に上流階級が行く高級スーパー(Waitrose)の通販が一番品ぞろえがよいです。

 

携帯電話

日本の携帯を海外で使うと破滅的な金額になります。そこで現地プランを契約しましょう。日本のようにお店で並んで契約する必要はありません。日本であらかじめSIMフリー携帯を手に入れさえすれば、コンビニのような路面店SIMカードを購入するか、郵送を待つだけ。イギリスでSIMカードを買えばそのままEU圏内で使えますので、旅行好きにも向いています。

路面で買えるSIMカードはpay as you go(=事前チャージ型)で、Suicaのようにチャージして使い切るまで通話やネットが可能。月額プランもありますが、一時帰国も多い方にはpay as you goがおすすめです。

 

私が愛用していたのは Threeというブランドでした。

 

www.three.co.uk

とにかく通信が速いんです。数字の3がロゴなのでわかりやすい。なお月額プランだと12GBの通信・カケホーダイで15ポンド(約2,300円)。や、安い……! Pay as you goだと同プランで20ポンド。これでも安い!

 

 

移動する手段

まずは移動する「マップ」を手に入れましょう。ロンドン民よ、あなたは恵まれています。Citymapperというアプリで物事はすべて片付きます。道の歩き方から駅の出口まで懇切丁寧に教えてくれるうえ、電波の届かない地下鉄でもオフラインで使える親切設計。さらに日本語表記ありです。しょっちゅう遅れたり運休になる地下鉄のトラブルも更新してもらえます。

ロンドン郊外民は、Googleマップを普通に使うことになるでしょう。

 

お次に公共交通機関について。

真っ赤な2階建てバス、憧れるかもしれませんが前述のCitymapperなしに乗車するのは難易度がエクストラハード。

お金に余裕があるなら気軽に移動できるUberへ。ロンドンは小さな都市なので、5ポンドで結構な距離を移動できます。イギリスの伝統的タクシーことブラック・キャブは「Uberに比べてうちの方が質が高い」と主張しております。が、右左折でウインカーは出さないわ、派手に煽り運転するわで何も信用できません。ロンドンで営業免許を禁止にする騒ぎがあったのですが、ズルズル延期中。2018年4月までは継続しているようです。やったね。

 

美味しいご飯にありつく

イギリスの飯。99%は微妙です。激しくマズくもないが、うまくもない。そして予算はまっとうなレストランなら酒込みひとり100ポンド(1.5万円)くらい。シビれますねえ。予算はざっくり日本の同グレードの店の倍くらいを想定したほうがよいです。というわけで、気に入った店を延々ルーティーンで回すことになるでしょう。

基本的にイギリスの店は「六本木ばりにドゥンドゥン音がうるさく、内装がラグジュアリー」なら繁盛するしくみになっています。客入りで味はわかりません。

信頼できるレビューはあまりないものの、OpentableGoogleマップに付随するレビューはある程度確かです。日本人の口コミは意外と役に立ちません。在住例が長くなると、味のスタンダードが劣化して多少まずくても喜ぶ体に調教されてしまうからです。

 

以下、ロンドンで美味しかった店をリストアップします。感想は略しますが、いつか別の記事で書くかも? カッコで併記する数字は私が使った平均1名あたり予算(ポンド)です。

 

■■■ 中華 ■■■

Royal China(50)

Bashu(50)

 

■■■ 和食 ■■■

Miyama(50)

Umu(150)

Ippudo 一風堂 (20)

 

■■■ インド ■■■

Trishna (100)

The Rajdoot Indian Restaurant (30)

 

■■■ アフタヌーン・ティー ■■■

The Goring (70)

 

■■■ フレンチ ■■■

 Les 110 de Taillevent (100)

 

■■■ イタリアン ■■■

Macellaio Roberto Costa (70)

 

けっこう食事好きなほうで外食するんですが、1年半努力の限りを尽くしてもこれだけしか美味しいレストランがなかったというのはやっぱり異常です。日系企業のチェーンすら油断なりません。なお、有名店でもUber Eatsに登録している比率が高いので無理して外食せずともUber Eatsを活用するのもあり。

 

医療を受ける

イギリスにはGP(かかりつけ医)制度があり、無料で医療を受けられます。ただし骨折でも数日待たされるなど、けっこう質が問われますが……。事前登録が必要なので、まずはここへ郵便番号を入れ、近くの病院を探しましょう。★5つで評価がついているので、それを参考に近隣でよい病院を探します。

行き先が決まったらふらっと病院を訪れ「I'd like to register the GP in here. I am a newcomer to this country.」(GP登録したいです。海外から来てすぐの人間です)といえば滞りなく進みます。

なお、イギリスには別途私立病院もあり、比較的マシな医療を受けることはできます。ただし風邪でも300ポンド(4.5万円)くらい取られます。市販薬使っておいたほうがまし。いい会社へ就職すると私立病院代金を保険でカバーしてもらえるので、現地就活される方は気にしておくとよいでしょう。駐妻さんは旦那さんの会社がいくばくかはカバーしてくれるはず?

 

おわりに

とりあえず暮らしに必要な最低限の暮らしはこんなものでしょうか。住んですぐの目標は「メンタル病まない」ことです。環境の変化は大きなストレスになります。無理していろいろなアクティビティへ参加せず、最初は慣れることに気を使ってください。健闘を祈ります。

 

 イギリスへ行くなら必読書。イギリス料理の深淵なる微妙さを味わえます。本当は美味しいとか、最近美味しくなってきたとかウソです。

イギリスはおいしい (文春文庫)

イギリスはおいしい (文春文庫)

 

 

 留学生向けの費用や準備すべきことはこちらにむかしまとめました。

toianna.hatenablog.com

 

さらに昔、国費留学で毒親から逃れる手段についてご紹介しています。

toianna.blog.fc2.com

 

憧れの「グローバル人材」になってみたらケツの毛までむしられた話

就活したとき「グローバル人材」という言葉が流行り、私も憧れた。就活時に自分が考えていたのはこんな像だ。

  • 拠点が2カ国以上にある
  • 各国をフットワーク軽く移動
  • 日本以外で通用するスキルがある
  • 海外企業や顧客相手に商売をする
  • 2か国語以上を駆使する

安直だけど、こんなもんだろう。

そして先日、自宅でパカパカとキーボードを叩きながら思った。

「あれ? 私、あのとき憧れたグローバル人材になってね?」と。

今の私は、フリーランサー2年目。イギリスと日本に家がある。顧客は日本とイギリスの法人。年に10回くらい海外移動がある。一応、ギリギリだけど自分の憧れた定義には当てはまってそうだ。そこで感じた現実を語る。私が住んでいるイギリスとの比較が多いのはあらかじめご容赦を。

 

日本マジパねえっす

海外在住者の多くは1度右翼(というかネトウヨ)になる。美味しいご飯やウォシュレット、にこやかなサービスへのホームシックからだ。だが日本がすごいのはそこじゃない。ご飯を求めるなら世界最高峰はパリだし、イタリアやスペインの大らかなサービス精神は最高だ。どの国だって住めば差別や偏見が待ち受けているけれど、それは日本に移住する外国人も同じだろう。

 

日本マジパねえのは税額だ。まずはこの表を見てほしい。

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これは東京とロンドンで年収1,000万円をフリーランスとして稼いだ場合、どれくらいの手取り差がでるかを概算したものである。ネット上の簡易計算機を使ったのでブレはあるだろうが、にしてもイギリスの税額おかしくない!?!? かたや東京なら手取り700万円が、ロンドンだと400万円台になるってどないやねん!

 

一応ロンドンのフォローもしておくと、福祉国家としてホームレスには住宅が与えられる医療費も学校もタダだ。だが無料の医者は予約待ち2週間もザラで、普通に治したければ高い私立病院に行くしかない。無料学校は優良校に親が殺到。公立なのに受験倍率5倍以上という異常事態になっている。

グローバルに活躍した結果手取りが250万円減るなら、私は日本でタックスをヘイブンしたい。そう思わされた1年、マジで辛かったよ……。

といってもここはまだイギリス。この世には北欧という税額界のラスボスがいる。海外移住きょわい!

 

就活の大変さはイギリスの方が上かもしれない

新卒一括が悪に見える人からすれば、通年採用のヨーロッパは楽に見えるかもしれない。だが就活はイギリスの方が大変である。新卒がバリューとみなされない世界では、コネと経験がものをいうからだ。

日本でもフリーランサーは元取引先の下請けなど、社会人時代に培ったコネでキャリアを始めると楽だ。「雑誌社で勤務してからライター業務を受注する」のと「SOHO募集サイトで応募する」のではギャラが10倍変わるだろう。

イギリスでもそれは同じだ。マーケティング案件はまずイギリス勤務の友人からお話をいただき、そこからお取引先を広げていただいた。それでもイギリスは職歴や学歴を重視するのでまだ一般応募もやりやすいが、イタリアやスペインではさらなるコネ社会だと現地人から聞く。人に生かされる社会は、つながりなき人間には冷たいのだ。

 

従って現地人とのつながりを持たない日本人が現地就労を狙うと、とんでもない年収で働かされる例が後を絶たない。

ひどいケースではある女性が年278万円で現地法人へ雇用されていた。ただでさえ物価が東京の1.5倍あるロンドン。上述の税額を課されると、仕送りなしで生活するのは厳しい。

一番楽なのは駐在員(expat)として海外支社へ赴任するケースだが、このやり方では日本人同士で固まってしまい、いつまでたってもグローバル感が得られない。スキル云々より、働いている本人がグローバル人材を目指していた場合「何のためにここにいるんだろう」と感じやすい。

 

会社員の場合「グローバルに働いている感」と「搾取されない給与水準」を考えると、ベストなのは現地で認められる資格や学位を得てからの就活になる。ただし、日本円換算でもまっとうな金額を稼ぎたいなら、まず留学を年単位でせねばならず、ハードだ。

 

海外へ移住するより日本でグローバルになるのはどう?

海外就労は大変な勉強になる。一方で、いらない苦労も増える。私は英語に困らないという最大のアドバンテージがあったにも関わらず大変だった。ざっとこの1年を振り返ってみよう。

  • 海外移住したてで隙ありと思われ宗教に勧誘されまくる
  • 節税対策でペーパーワークが大量発生。取引先にご迷惑をかけてしまった
  • 日本人同士だから訴えられないだろうと舐められロンドン都心部にある日系居酒屋の大将から性犯罪の被害に遭う
  • 上記の被害届や訴訟手続き
  • 私立病院の医療費が高くて笑う。風邪の診察だけで4万円
  • 税理士のコストも高い。自分で帳簿つけても年30万円

これらは全て日本で仕事していれば遭遇せずに済んだ「大変なこと」である。語学は別に日本でも磨ける。海外企業との取引もSkypeと英語ウェブサイト、そして友人のコネがあれば始められる。フリーランスだから大変だけれども、会社員なら転職しだいで海外出張たっぷりのグローバルな職場があるだろう。

ジェンダー的な差別が少なかったり移民が多くて心強かったりと、ロンドンは極めて住みよい街だ。テロで不安に思われるかもしれないが、日常の治安はすこぶる良い。仕事も比較的ちゃんとやる方だし、英語だから語学のハードルも低い。日本食がブームで、普通のスーパーで味噌やうどんも手に入る。それを踏まえてもグローバル人材になるよりは、グローバル案件を東京でやる方が楽でいいんじゃないか、という話だ。

 

★税金は下記ウェブサイトで試算しました

税金計算機 | 所得税・住民税簡易計算機

サラリーマン・フリーランス・自営の年収と手取り額の目安表

Tax Calculator for the Employed and Self Employed

Pension Calculator - Standard Life Savings

就活メディアでひどいけど笑えるボツが出たので1万円で買った

ライターの熊谷真士さんという笑える記事ばかり書いている人がいる。IQの高そうなネタを次々とアホにするので、妖怪脳溶かしとこっそり呼んでいる。シンナーの効能みたいな紹介になってしまった。

その熊谷さんと一緒に就活記事を書いている。相手はド真面目な媒体で、五大商社の人事を相手にインタビューし「これからの日本を担うのは誰か」なんて議論している。そこで熊谷さんの原稿がボツになった。そりゃなるだろ、ギリギリアウトだよと一読した瞬間に「な、なにこれ……」と衝撃を受けた。で「1万円出すからブログへ掲載させて!」と買い取ってきた。以下はその全文である。

 

***

 

就活生の質問:大学時代に恋人を作れと先輩方に口を酸っぱくして言われるが、社会人の出会いはそんなに悪いものか?

 

回答:たしかに、おっぱいの大きさが本人の性格に影響を与えるでしょう。

おっぱいの大きい子は心に余裕があるというのは本当なのか、という今回のご質問。確かに、そんな話を耳にした事があります。

その人の持つ外見や能力によって他人からの扱いが変化し、それの継続によって人間の考え方や性格が形作られていくのだとすれば、「おっぱいの大きさ」という身体的な特徴が本人の人格に影響を与えることは大いにあるでしょう。

 

「おっぱい」という圧倒的な強みを保有することで自分自身に対して深い自信を持ち、他人からの些細なディスではその圧倒的自信が揺らぐことは一切ない、という屈強なメンタルを手にしたおっぱい菩薩の方も存在します。そういう女性は結果的に心が広いと感じられるでしょう。アレの大きい男性には何とも言えない余裕が漂っているという例の説と、同様の理論です。

しかし、おっぱいが大きいにも関わらずモテを実感出来ず、自分に対してどうしても自信が持てない、という女性もいるようです。おっぱいがもたらす優位性を感じられず、中には自分のおっぱいにコンプレックスまで感じてしまうような、「おっぱいの持ち腐れ状態」になってしまっている人も。おっぱいが大きいからと言って誰しもが心に余裕を持てるというわけでは、ないのです。

 

「おっぱいが大きい」という一つの外的特徴がその人の自己評価に与える影響は、やはりその他の特徴やその人自身の根本的な考え方に依存する話なのでしょう。つまり、おっぱいが大きい人は心に余裕があるのかという冒頭の設問に対する解答はYesでありNo。というか、いまちゃんと見直したら、今回の設問、「大学時代に恋人を作れと先輩方に口を酸っぱくして言われるが、社会人の出会いはそんなに悪いものか?」でしたね。全く違いました。何もかも違いました。私は一体、何に対して回答していたんでしょうか。

さて、もう使える残りの文字数が殆どないのですが、こちらの質問に対する私からの回答は、「いや、別にそんなことないんじゃない?」です。根拠は特にありませんが、少なくとも社会人の出会いは悪いもんだとはなから思っている人の出会いは、悪くなりそうですよね。何事もポジティブにいきましょう。おっぱい。

 

***

 

初見で頭の中がこれでいっぱいになった。


おっぱいがいっぱい

 

小学校のころ、先生がテストの裏に出したクイズ。「いっぱい、の『い』を『お』に変えるとどうなるでしょう?」みんな思ったよ、答えは「おっぱい」だって。答えは「おっぱお」でした。何エロいこと考えてんのよ変態、と女子が騒ぎ立てた。女子なのに「おっぱい」としか思えなかった私は下を向いて黙った。こんなの引っかける方が悪いよ、何がおっぱおだよ、そんなの日本語にねーよ。

あまりに盛り上がりすぎてなぜか出題した先生の方が怒りだし「おっぱいは変態なんですか?」と居残りで学級会になった。先生も一体何を考えていたんだろう、あの変態会議で。

 

誰しもがおっぱいに少なからぬ思い出を抱いている。そうそう就活生の質問に答えますが、社会人の出会いは大学での出会いより大変です、いっぱい。

 

熊谷さんの採用記事はこちら。リンク貼るなって言われそうだから無許可で貼った。通報しないでください。

www.onecareer.jp

 

熊谷さんのブログ。脳が溶けて気持ちよくなれます(効能)

manato-kumagai.hatenablog.jp

 

真面目な就活生がこのページを見てしまったら申し訳ないので、きちんと書いた記事へもリンクを貼らせていただきます。

toianna.hatenablog.com

アラサー女が半年で12kg痩せるためにやったこと

太ったので、ダイエットした。

スカートが入らなくなったあたりで「ヤバいかも」とは思っていたが、美醜を気にする理由もなかったので放置していた。が「子供が3年後くらいに欲しい」という話になって気づいた。自分がデブでもいいが、子供の健康に関わったら申し訳ない。

ここからは私がその過程で学んだことを列挙していく。長文なので気になる項目だけ見たい人は目次をタップしてどうぞ。

 

 

経済と精神が安定するまで痩せないほうがいい

ダイエットとは人生の余裕があるときにやるものであり、貧困だったり、精神的に不安定なときはやらない方がいい。まず、カロリーが低いご飯は大抵お高い。ジムに通うなら金がかかるし、自宅でトレーニングするにも器材がいる。膝を痛めず運動したいならまともなスニーカーもいるだろう。金は間違いなくかかる。

そしてダイエットはストレス負荷の高い行為だ。ただでさえ家計が火の車だったり、精神的に不安定ならそれ以上ストレスをダイエットで追加投入すると失敗しやすい。

ダイエットにおける最悪の結末はリバウンドではなく「自分はこの程度のこともできない人間だ」と自尊心を下げてしまうことだ。失敗しても自分を好きでいる自信がないうちは、ダイエットしない方がいい。

 

自分の力を過信しない

何度もダイエットにチャレンジしては失敗してきた人はなら、自力に頼らない方がいい。強制力を働かせよう。私の場合はパーソナルトレーナーへ依頼した。

多くのパーソナルトレーナーはジムで個人指導する仕組みだが、ジム通いはサボれてしまう。おススメは自宅派遣。ダラダラしてようが「体育の時間」は来てしまうので、強制的に運動と食事管理をさせられる。宿題をサボろうものならもろにトレーニング日でバレる。

派遣は高くつくが、最近はオンライン授業もある。特に筋トレはフォルムが大事なので、雑誌や動画を見ながら試して体を壊すくらいならトレーナーにしっかり教わった方がいい。

 

目的別にレシピを見つける

痩せる理由はほとんどが食事制限。筋トレや有酸素運動は美しい体を作るため、あるいは基礎代謝を上げるためにある。従ってダイエットとは「いかに美味しいローカロリー食を見つけるか」の旅である。

私は去年秋から仕事量が増え、まともに自炊できない日も多かった。そこで以下の目的別にレシピをかき集めた。

 

① 自炊して美味しいものを作る

定番メニューは以下リンクから:セロリのおひたし 本格インドカレーの作り方・レシピ 人参の卵とじ(人参しりしり) さっぱり簡単♪めちゃうま豆腐サラダ♪ 簡単!激うまササミ

その他よく作ったのはこんな感じ。

チキンのトマト煮込み・鮭のオーブン焼き・ヒラメやカレイの昆布〆・アーモンドミルクでほうれん草のホワイトソース・なすの焼き浸し・ほうれん草とセロリアーモンドミルクのスムージー・プチっと鍋のキムチを使った野菜鍋

飲み物は炭酸水とアーモンドミルクに頼ったアーモンドミルクはローカロリーで、しかも賞味期限がかなり長い。これを使ったら牛乳には戻れない。

 

② 手早くローカロリーを食べる

昨年から結構忙しく、睡眠時間3時間×2週間みたいな時期があった。このタイミングで自炊したら過労死する。というわけで「マズくなくて、簡単にできるもの」を極める必要があった。具体的に私が食べていたのは下記の通り。

 

プロテインバー…筋トレもしていたので、食べる必要があった。イギリスではCarb Killaというゴツいシリーズが甘みも強くローカロリーで満足度が高い。日本で発売されていないらしいので、輸入業者に期待。

 

・茹でたオクラに醤油をかけたもの…普通に美味しい。

 

・ローカーボパスタ…アトキンスというローカーボ(低糖質)製品を出すメーカーのパスタに、市販のパスタソースをぶっかけて食べていた。日本なら糖質0麺をはじめ、もっといい製品がいっぱいあると思うのでどんどん試していただきたい。

 

ブロッコリーにパスタソース…茹でたブロッコリーに市販のパスタソースをぶっかける、終わり。そもそも「パスタ食べたい」という感情は、濃いパスタソースを舐めたいという欲求と大差ないことに気付かされる。副作用としてブロッコリーが嫌いになる。

 

オイスター…牡蠣はローカロリーなのでオイスターバーに通う価値は高い。友達との外食などでさりげなくお店を指定できると◎。なお通いすぎて1度ノロに感染し、そこで3kg近く痩せたのはダイエット期間中怪我の功名……。

 

・ゆで卵…筋トレマニアもOKを出してくれる食品。1個86kcalという安心感、固形物を噛んでいる満足度と文句をつけるところはない。

 

・スープ…日本の高級ホテルは自家製スープを通販している。これが美味しい。個人的なお気に入りは帝国ホテルのスープセット。簡素な見た目とは裏腹にコクがあって1本で満足できる。昔、先輩社員が飲んでいるのをおすそ分けしていただいてから「なんじゃこりゃ!!」とファンになった。

 

あとはスープストックが満足度高い。日本に一時帰国したときはこれに頼りっぱなし。

 ただし、スープストックトーキョーは電子レンジ・湯煎で解凍する必要がある。缶をプシッってやるだけの帝国ホテルのスープよりは面倒。

 

成城石井のスープもイギリスでよく飲む。クラムチャウダーの方が個人的には好き。

 

 

・刺身…白身の刺身はそこまでカロリーがないため安心して食べられる。日本だとスーパーで刺身を買って、そのまま刻んだレタスと食べればいっちょ上がりだろう。イギリス在住なので刺身をゲットするのはちょっと難しいけど、たまに食べる。

 

・白トリュフオイル… かけると白トリュフの香りになるという魔法のオイル。お豆腐、目玉焼き、キノコソテーにかけるだけで気分は晩餐会。加熱すると香りが飛ぶので調理後の仕上げにかけてどうぞ。

地中海フーズ 白トリュフオイル 40ml

地中海フーズ 白トリュフオイル 40ml

 

 

③ 高カロリー食品を少しだけ食べる

がっつり食べたいときはある。パーソナルトレーナーからはたまに高カロリーなものを食べてでも「Don't starve yourself(自分を飢えさせるな)」というお達しがあった。お腹を空かせてしまうとストレスが溜まる上に、体が健康維持のためカロリーを吸収してしまうからだ。

 

・冷凍クロワッサン…冷凍パンなんて美味しくないと思っていたら、これが大きな誤算だった。オーブンで温めた冷凍クロワッサン、普通のパン屋さんより美味しい! 調べたらAmazonでも楽天でもいろいろあったのでぜひ……!

 

・冷凍餃子…冷凍の方がなぜかカロリーが低いため、積極的に冷凍を使ってほしい。セブンイレブンにすら売っているため「今日はどうしてもカロリー取りたいのおおお!」って気分が盛り上がったときにオススメ。

 

あとは、1日1食にしてその1食を普通食にするパターンもやった。どうしてもタイカレーが食べたい、ラーメンが食べたいなんて日もある。そんなときに無理をすると生きているのが嫌になってくるので、食べたほうがいい。そして前後日で調整すればいい。

 

酒を止めない

 酒好きにとって断酒はダイエットと同時並行するには厳しい。いくらカロリーが下がるからといって断酒するとどこかでブチ切れ、代わりに山盛りのシュークリームでも食べかねない。だから断酒するなら、ダイエットの後に別途チャレンジしたほうがいい

では、酒を止めずにどうやってカロリーを抑えるか。答えはスピリッツ(原酒)。蒸留酒ならアルコール度数が高いため、ワインのようにペロリと1本飲みつくせない。

 

私の場合は、量を制限しつつも焼酎とウイスキーを中心に飲んでいる。ソーダ割りですっきり飲み始めて、最後はストレートで美味しく終わらせる。

いま家にあるウイスキーグレンモーレンジィ、アードベッグ、タラモアデュー。最初はビールとワインが飲めないことがストレスになるかと思ったが、原酒にもたくさんジャンルがある。今はオードヴィー、グラッパ、アルマニャック、マールと原酒の幅が広がって楽しい。

あとここでも炭酸水は割るために活躍する。炭酸水は神。

 

楽しい運動を探す

運動が習慣化していない人間にとっては運動が苦痛だ。だからまずは「楽しい運動」を探すところから始めた。どんなに効率的だろうが、楽しくないものは続かない。私の場合はZUMBAが楽しかった。ダンスがうまくなくても怒られないのと、自重で負荷をかけようと思えばいくらでもかけられるのが素晴らしい。

そして楽しくない効率的な運動をパーソナルトレーナーとやる。私のトレーニングは具体的に以下で構成されていた。

 

① HIIT(高強度インターバルトレーニング)…短時間でぶっ倒れそうな負荷の運動を繰り返すもの。たとえば、ある日の私のHIITメニューはこちら。バーピー1分、20秒休憩、マウンテンクライマー1分、20秒休憩、ダンベルありスクワット1分、20秒休憩、ここまでを3セット。

 HIIT、日本ではタバタプロトコルが有名。

究極の科学的肉体改造メソッド タバタ式トレーニング

究極の科学的肉体改造メソッド タバタ式トレーニング

 

 HIITの肝は「死ぬ気でやる」というところなので、果たして人が見ていないところでどこまで死ぬ気になれるかは難しいところ……。これは人に見てもらいながらやった方がいいかも。圧倒的に楽しくない。でも確かに痩せる。

 

② 体幹を鍛える運動…あらゆる運動の基礎としてやった。プランクに代表される体を支える運動。半年前は20秒が限界だったが、今はコンスタントに1分30秒できる。数字で成果が出やすいのでやりがいを感じやすいかもしれない。秒数を数えると「もうだめ」と思いやすくなるので、私は脳内で歌ってやり過ごしている。

 

③ 筋トレ…美しい体作りのために。デッドリフト、スクワットをバーベルを使って行っている。もともと筋肉が皆無だったので今も負荷はほとんどない。フォルムを間違えると関節を痛めるので、初心者はトレーナーなしにやらない方がいい。

 

停滞期は来るし、長い

ダイエットをする方なら「停滞期」をご存知だろう。人は痩せ続けると「これは飢えているのでは?」と勘違いし、どうにかして痩せないように防衛し始める。その防衛ラインをゆるめるためローカロリーの食事をとるのだが、それにしても体に気付かれてしまう時期は来る。

私の場合は、-10kg到達でいきなり停滞した。しかも2ヶ月体重が変わらなかった。いくら来ると分かっていても、あまりの成果の出なさに辛くなる。そういう時期はHIITなどハードな運動をやめて、楽しめる運動へ変えてしのぐ。

その期間はトレーナーに教わったバレエ基礎、ZUMBA、ヨガ、ピラティスなど効率を無視して雑多に運動した。消費カロリーは減るかもしれないが、何もしないよりずっとマシ。

あとは、個人的なテンションを上げるために好きな音楽や映像を流して筋トレしていた。特に少女革命ウテナは、主人公が隙あらば運動しているキャラなので「この体重になりたければ運動しろってことか……」とモチベーションアップになった。

 

痩せたからダイエットが終わるわけじゃない

「ダイエット」という言葉には、あたかも短期間我慢して痩せたら食べ放題の響きがある。しかし12kg痩せたところで、前の食事をすれば戻るだけだ。すなわちここまでリストアップしたやり方は私がこれから生涯続けなくてはならないことでもある。ダイエットが「成功」したかどうかは私が死体になるまでわからない。

 

年を取れば脂ぎったものを食べられなく人がいるのは知っているが、少なくとも私は太る素質があるようだ。今でもカツカレーを食べたいし、グルメはやめたくない。ただし年を取るということは、行為のツケを前後の食生活や運動で上手に払っていくことなのかもしれない。

就活生へ安易にベンチャーを勧める大人が多すぎてキレそう

3月は就活解禁……という名の茶番である。経団連に参加している企業も一部は半年前から選考を進めている。3月に最終面接だけ残し「ルールは守ったよね?」と就活解禁から内々定を出す。採用スケジュールは業界によるから絶望することはないけれど、すでにレースの半分が終わっている。

 

と、知った学生は焦る。「就活は3月からって聞いてたのに、もう周りは内定者まみれなんですけど!?」と。それで就活に詳しそうな人を探す。私も外資就活ドットコムのスタートアップ期にノリで参加し数年、気付けばすっかり「就活相談に乗る怪しい大人」の一員だ。

しかしこのシーズン、学生から「ある相談」を受けることが多すぎてキレそうになる。学生へじゃなく無責任な大人へだ。

 

就活生:新卒こそベンチャーへ行くべきって○○さんが言ってたんですけど、大手を受けずベンチャーへ行くべきでしょうか?

 

私:その方はどういう背景からそうおっしゃったの?

 

就活生:これからの社会で大企業のスキルじゃ生きていけない。大企業だと裁量権もなくて下積み期間が長いから「どこでも働ける人材」になれない。ベンチャーで即戦力を身に着けてすぐ独立できる人材に育つべきだ、って。

 

頼む、この子の人生に責任取れないんだったら、そういう嘘をつかないでくれよ。

 

大きな裁量権や成長速度はベンチャーの専売特許にあらず

ベンチャーで働く人が「新卒からベンチャーへ入るべき」と言うなら話は分かる。優秀な新卒学生が欲しいからだ。それでも私の周りにいる真摯な採用担当者は、大企業へ行くメリットも見せた上で採用している。ベンチャーの創始者には大手企業出身者も多く、大手の良さを享受した経歴があるからだ。

ところが「大手には裁量権がない」「これからの時代は即戦力が必要」とベンチャーこそ至上と勧める人は、ベンチャーの当事者でないことが多い。というより就職活動すらしたことがない人がたくさんいる。就活をしたからって就活についてアドバイスできるようになるわけではないが、いくら何でも大企業を十把一絡げにレッテル貼りするのは無責任じゃないか。

 

大きな裁量権を持てるのはベンチャーだけではない。たとえば外資なら1年目から大きいプロジェクトが振ってくることも多い。広告代理店もすさまじく鍛えられるようだ。激務と引き換えにはなるが、大企業にだって裁量権の大きな場所はある。

それに、裁量権の大きさと成長スピードはあまり関係がない。「何も指導しないけど今日から君が責任者ね、はい頑張って」とブン投げられるより軍人・山本五十六のように「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」と指導したほうが成長は早いかもしれない。

ほとんどの人は放置されるより毎日褒められる方が頑張れるだろう。そういう意味では伝統的な大手企業の方がよほどあなたの成長へ寄与してくれるのではないか。

 

新卒からベンチャーへ行くメリットを享受できるのは上位1%

ただ、ベンチャーを推す側の論理も理解できなくはない。大企業の「成長」はあくまで社内における仕事の進め方に順応していくだけで「どこでも働ける人材」になれないリスクがあるからだ。

しかし企業が与えてくれるマニュアルなしで働ける人は、トップ1%くらいの優秀層に限られる。新卒からベンチャーで活躍できる条件を出すなら「たとえ会社が無くなっても自分の能力で起業・転職できる」学生である。これに該当する人間はそういない。

 

本来1%のトップ層にしかできそうもないことを「どこを受ければいいですか?」と焦るような学生へ言ってしまえば、ベンチャーへ入社してしまった挙句に会社が廃業し、路頭に迷う悲劇を生むだけではないか。少なくとも「誰かに勧められたからベンチャーへ入るべきか」と悩んでしまう学生へ向けていい言葉ではない。普通の人間が「どこでも働ける人材」を目指すなら、寿司でも握った方がよほど夢に近づけるだろう。

 

大企業は自分が無能でも守ってくれる

99%の就活生はフツーの人材で、むしろ就職後に自分は無能な人間だったと気づく可能性もある。そこで自分が無能だったとしても守ってくれるのが、大企業の名前である。

転職するにせよ新卒企業の名前は履歴書に一生残る。そして「こんなちゃんとした会社で勤めた経験があるなら大丈夫だろう」と信頼してもらえる。わずか4年で会社員を辞め、フリーランスへ転向した私ですらそうだ。

 

さらに日本社会に山ほどあるマナーをタダで教えてもらえるのは、まっとうな企業に属した新卒の特権でもある。「時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」に始まり、先輩より早く帰る挨拶しぐさから飲み会の話題まで、大企業にはそれこそベンチャーを推す大人が軽蔑するプロトコルが山ほどあるだろう。

だが、ベンチャーへ就職したところで取引する相手はそのプロトコル集団だ。ルールを知らねば彼らを相手に金儲けはできない。反対にプロトコルを守るだけで、無能な人材ですらある程度仕事を回してもらえる。大企業は社名とマナー教育の2つであなたのキャリアを守ってくれる保険のようなものだ。

 

自分が社会のトップ1%として活躍する自信があるなら新卒でベンチャーに行った方がいい。だがもし自分が下位99%、つまり大多数の人間だと思うなら大企業を最初から切って捨てる理由はないだろう。自分がベンチャー向きかどうかは大企業や手堅い中小企業を受け、じっくり採用担当やOBGから話を聞いてから考えてもいい。大手は受けておこう。話はそれからだ。

 

 ***

 

こちらは裁量権が大きく成長できると言われる企業に所属し続けるリスクについて書いたもの。仮にベンチャーで成長したところで、果たしてそれが「どこでも働ける」人材と言えるのかも分からないのだ。

toianna.hatenablog.com

 

 

 

姉が新興宗教に出家したとき、彼女を助けてくれる人は誰もいなかった

新興宗教へ出家した姉の話をしようと思う。

私が生まれたとき、姉は中学生だった。母は早期に離婚し、私の父と再婚した。だから姉と私では父親が違う。再婚相手の娘というとても微妙な間柄だったけれど、姉と過ごした時間はとても長かった。母が朝5時から深夜1時まで働くような人だったので、年端もいかない姉に私を預けていたからだ。

 姉は明らかに困惑していた。当たり前だ。中学生で恋愛なり何なりを楽しめる年齢だった。それを私の育児で台無しにされて、さぞ迷惑だったろう。

 

さらに母は姉の親権を放棄していた。というか厳密には父親も母親も親権を放棄したがったので、祖父母が育てていた。つまり姉は「母にも父にも見捨てられた」という自意識を持ちながら、父親が違う妹の私を育てていたのだ。人生ってこんなにひどい試練を人に与えうるんだろうか?

 

それでも姉はよくできた人で、不器用ながらも私の面倒を見てくれた。だから私は姉が好きだ。幼い私は彼女のバックグラウンドを何も考えず「いつも面倒をみてくれる人」くらいに思っていた。

そう、姉は「お姉ちゃん」ではなかった。離婚のせいで母方の実家から絶縁されていたからだ。再婚と私の誕生も相まって姉は親族から「存在しない子」となった。親族の集まりに招かれることもなかった。だから私は姉を「お姉ちゃん」として呼ぶことは禁止された。「そんなことして近所の噂になったらどうするの。笑われるんだよ、あそこの家は再婚だって」だから私は姉のことを〇〇ちゃん、と名前で呼んでいた。私も彼女が実の姉だと知ったのは10代になってからだ。

 

いろいろ噂になるし、田舎にいてくれない方が助かる。そんな思惑で姉は海外へ送られた。学費は当時バブル景気で儲かっていた母から出た。イギリスの高校と大学を卒業した姉はそのまま就職したが、不運にも就職先が続けて倒産したらしい。この当時の姉は荒れていた。伝聞でしか知らないけれど、母に包丁を向けて「あんたのせいだ」と対峙したこともあるらしい。そんな姉を新興宗教へ入れたのは母だった。 

「ここなら姉をどうにかしてくれるだろう」

「私が霊視した限りでは本物の神様がいる宗教の一つだから」と。

 

私の母は自分のことを神様だと信じている電波な人だった。だから新興宗教へ突っ込んだ行為ですら、姉から見れば霊とばかり向き合っている母が姉を気にかけた数少ない時期だった。「お母さんが私のことを見てくれた」と思った姉は新興宗教へ入った。(ちなみに姉へ宗教を勧めたくせに母は入信しなかった。そして会費も払わなかった。)

 

元来のマジメな性格が幸いして、姉はあっという間に出世した。そして数年後、私が同じように母から遠ざけられてイギリスの高校へ入ったときには出家していた。私は未成年の親戚だからと勝手に名前を書かれ入信させられた。

週に1度の祭事やボランティアに寒い時期の集中訓練。私は4年間、彼女の新興宗教へ晒された。信仰したことは1度もない。残念ながら私は体質的に偉い人の話を聞くと眠くなるので、教祖様の話を最後まで聞けずいつも爆睡してしまったのだ。

 

私も母とトラブルを抱えて人生でつらいときは何度もあったし、信じられた方が幸せだったかもしれない。けれどいくら母親が自分を神様と信じてるからって、反発して新興宗教に入るのは何か違うんじゃないか。それって親がクラシックの指揮者なのに嫌気が差してロックシンガーになるくらい傍目にゃ一緒に見えないか……というモヤモヤから解放されなかった。

 

姉の「もっと修行しろ、勧誘しろ」という推しは嫌いでしょうがなかったが、姉のことは好きなので黙っていた。けれど同じ信者から「あなたのお姉さんはすごいのよ。飛行機の隣の席に座った人も入信させたんだから」なんて言われると吐き気がした。やめてくれよ、そんな社会悪に近づくのは。新興宗教に入ってるからって、もっとゆるい信者にもなれるだろ。

 

本当は、彼女の両親が親権を放棄した時点で抱きしめてあげる誰かが必要だったんだろう。本当は、母親が電波じゃなかったら良かったんだろう。姉の就職先が倒産したからって「大丈夫よ、しばらくここで暮らしなさい」って言ってあげられる誰かがいたら。でも姉には何もなかった。当時は宗教以外の何も、彼女を助けられなかった。

 

そして現在、姉は宗教を通じて出会った夫と幸せに暮らしている。子供にも恵まれた。

もしかすると子供は2世として苦しむかもしれない。勧誘されて友人は離れていった。けれど姉に宗教がなければ、この年まで生きていてくれただろうか。宗教なしに姉が幸せに生きる道ってあったんだろうか? だから私は姉にかける言葉がない。ただ、勧誘されないよう距離を置いてたまにLINEするだけだ。

 

出家してもなお大御所芸能人にバッシングされる清水富美加さんへも、同じ辛さをひりひりと感じている。彼女が生きるすべって出家する以外他にあったんだろうか。社会に孤独な人のセーフティネットが宗教以外何もないなら、それって用意しなかった社会の、ひいては私の責任でもあるんじゃないか。

同じような人を「助けられない」と諦めるのは言い訳だ。きっとこれから同じように人生のどん詰まりにあった人を助けていける。そんな一縷の希望だけが、私をいま動かしている。

 

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こちらは自分を神だと信じていた母の話。もういい年だから母を恨みはしないけれど、姉の人生を変えたことくらい謝罪してもいいんじゃないかと思う。

toianna.hatenablog.com

 

この記事を読んで、ずっと書かなかった姉の話を書こうと思った。新興宗教2世で同じ信仰を持てないのは苦しいと思う。と同時に、その親世代って宗教へ入る以外に生きる道はあったんだろうか。それを用意できなかった時点で、責任は社会全体にあるんじゃないかと。

menhera.jp

 

数年前に書いた母と姉の話。

toianna.blog.fc2.com