トイアンナのぐだぐだ

まじめにふまじめ

あなたを忘れない。夜空に瞬くTwitter歴代キラキラアカウントたち 2016年版

 

ある女性が偽者のカルティエを販売し逮捕された。たいした事件ではないが、彼女のTwitterアカウントが判明してからは大騒ぎになった。実は彼女「ばびろんまつこ」という名前で有名ホテルやブランド品の写真など、セレブツイートをしては憧れの的となる「キラキラアカウント」の代表格だったのだ。

 

 

私が悪趣味の一環としてキラキラアカウントウォッチャーをして数年になる。ばびろんまつこ氏のような逮捕による消失は異例だが、いくつもの女性アカウントが彗星のようにまたたき、消えていった。すでに名前すら忘れ去れた者も多いだろう。そこで備忘録代わりに、歴代キラキラアカウントを記してみたい。

すでに消失したアカウントや、鍵アカウントは記載しない。(例、チワワ先輩、夜の意識高い学生、Lady / 敬称略)

 

キラキラアカウント黎明期 2009年~2012年ごろ

このころはキラキラアカウントが存在してもラグジュアリーな生活をほしいままにする純粋な富裕層が多かった。炎上系女子が登場したきっかけも含め、追っていくことにする。

 石原さとみさんに似ているらしいあんじぇ氏は2009年ごろからの古参。バリ旅行などアッパークラスな暮らしが似合う純粋なキラキラを感じ取れる。最近は落ち着かれた様子でほっこり温かいツイートを拝見できる。

 

 白鳥麗子氏も2009年からの古参。バリバリ働きながら、ラグジュアリーな生活を楽しむという誰もがあこがれる暮らしを体現。現在は鍵アカウントに。

 

年収5000万円以下の男と付き合うってどんな感じなの?

ここから炎上系キラキラが生まれる外資系美女、marieさん。彼女のツイートは全削除されているが、こちらの【Twitter】元外資系の美女が上から目線すぎて面白い - NAVER まとめ から代表的なツイートを把握することができる。恋愛に対する強者目線でのコメントは圧倒的支持を得、数千人のフォロワーを誇った。

 

銀行員から転職し「愛人斡旋業」で生計を立てているらしい女性アカウント。恋愛ハウツーやゴージャスな暮らしぶりが元祖キラキラアカウントとして信者を集めた。現在でもその片鱗をブログでは拝見できる。ラグジュアリーな暮らしをTwitterから垣間見て、自分が知らない世界を学ぶというキラキラアカウントの効用を一番に発揮した存在。2016年現在、アカウント削除。

 なお、著書『愛人という仕事』も執筆されている本格派。

愛人という仕事

愛人という仕事

 

  

単なる成金じゃない、上質な富裕層の暮らしを唱える元祖アカウント。アリスさんはアクは弱いもののグサリと刺さる恋愛のtipsをつぶやいてくれることが多い。最近はあまりツイートされていないのが残念。 

 

キラキラアカウントは通常人間味があまりなく、「中身はおっさんではないか」などと疑惑を持たれることがある中で最も人間らしい初期アカウント。詩を詠むような改行はタイムラインでも目を引いた。

 

古参でありながら現役活躍中のアカウント。キラキラアカウントが白抜きのハート(♡)を多様するようになったのはひとえにまりこ様の影響ではないかと思われる。キラキラアカウントは内容がファッション、恋愛に偏る傾向があるため、本人も飽きるのか長続きしにくい傾向がある。まりこ氏はツイート頻度は低いものの、安定して恋愛キラキラを呟いてくれる貴重なキラキラアカウント史の証人である。

 

こちらも現役活躍中。他のアカウントが「誰かを貶すことで注目を集める」路線であるのに対し、自虐ネタと気さくな人間味で安定的人気を誇る穢れなき光のキラキラ女子

 

キラキラバブル発生 2013~2014年ごろ

 2014年ごろはキラキラアカウントが発生しては消滅する、キラキラバブル期だった。特にひとの生き様を強者目線でお説教しつづける「お説教系」の誕生は目を引いた。ばびろんまつこ氏もここに入るが冒頭で引用したので割愛。

 

通称「シャオガール」と呼ばれる彼女は、帰国子女、総合職、親は大富豪、アートとランニングが趣味で夫は大企業の御曹司、というとんでもない負荷を設定に背負いながら爆走し続けるキラキラの女王だった。 それまで「愛人」など想像しやすいキラキラ設定の女子が多かった中、設定にパワーインフレがおきるきっかけとなった。

このアカウントはウォッチ対象としてお気に入りだったのでもう1つ引用。残念ながら最後は「アルコール摂取ツイートしてすぐに妊娠出産の報告をする」など設定に緩さが目立ち減速した。

 

 西麻 布子氏は元祖お説教系アカウント。女性の美容、生き方などを果てしなくツイートする一方で、本人の暮らしぶりはまったく明かさないため中身が誰かはさまざまな憶測が(というかオッサン疑惑が)飛び交っている。

 

jessica氏は天真爛漫、無邪気に愛されている自分をツイートするアカウント。シャオガール氏などが他人をdisりぎみなのに対し「私はただ高いところにいるだけです」というポジショニングが特徴。現在も活躍中。

 

 とにかくブスと30歳を過ぎた女性をディスるアカウント。それまでキラキラアカウントにマウンティングは欠かせない要素と思われていたが、あまりに貶すだけの要素が多いと、多数のファンは獲得できないことが彼女によって明らかにされた。現在もIDを変えて鍵アカウントで運用中。

 

 あまり知られていないが私がずっと見ていたアカウント。男より親の遺産の方が私を守ってくれるなど、衝撃的なフレーズが飛び交う。自分がいかに愛されているかをアピールする点は、キラキラアカウント黎明期を思い起こさせる。2016年現在、消滅。

 

地に足のついたキラキラを求めて   2014年ごろ~

大富豪の子女や絶世の美女などキラキラ度のインフレが起きる中「もっと身近にあこがれられる女子を知りたい」ニーズが高まっていた。そんな中で登場したのがこちら。ツイートを読むと「私も頑張ろう」と思うことができるのが効用。

 

 「コンパ戦士」を名乗る合コンのプロフェッショナル女子。キラキラアカウントの複数人による運営の草分け的存在。他のアカウントと揉めたかと思いきや合コンのSWOT分析をするなど「やたら感情的なコンサル」としか説明しようのない言動が特徴。私は好きです。ブログの恋愛分析もおすすめ。

 

レイコとまゆみ氏とほぼ同時期に誕生、拮抗あるいは超越する存在となった東京姉妹。姉妹でアカウント運営をしており、のちに分裂。 一時はAM女子SPAでの連載を手がけるライターとしても輝いた。

 

混戦状態の ニューウェーブ 2015年~

2013年ごろにヒットしたアカウントが炎上あるいは媒体連載などでソフト路線に落ち着く中、より濃厚なマウンティングや新路線が次々に登場している。

 

数週間で1万フォロワーを稼いだ、脅威の新人。自分は無職であるにもかかわらず「お金持ちと結婚して私はボランティアに精を出す」「関係を持った医者と思しき男性のマンションを晒す」というムチャ振りで炎上、一気に有名となる。 ただし現在は路線に迷走中。マネタイズ目的で作られた偽装キラキラではとの声も多い。

 

@MsHazumiはかつて私がキラキラアカウントの実験用に製作。その後飽きて「♡美桜♡」という別人キラキラアカウントへ無償譲渡した。彼女はアフィリエイトのマネタイズ目的で運営したようだが、さらにその後♡美桜♡ 本人のアカウントが炎上、本人特定の末消滅。今は誰が中身をやっているのか?真相は藪の中である。

 

医師の奥様。このころから「医師彼」「医師奥」など彼の職業と立場を組み合わせたプロフィールがキラキラ女子界に普及した。他人を積極的に殴っていくキラキラアカウント過激派なので、読み応えがある。

 

キラキラ女子アカウントをずっと観察してきた身としては、こういう元祖に近いアカウントが出てくるとわくわくしてしまう。おそらく黎明期から活躍している「まりこ♡」インスパイア。

 

 キラキラというか、ガツガツ系新卒女子アカウント。数々の男性とアプリ経由で出会ってデートし、そしてブロックするという芸風を確立。最近は落ち着いているかと思いきや、オンラインサロンで恋愛指南をしている模様。

 

 最近のキラキラ女子の中でも顔文字や♡が少なく冷静なアカウント。ドスのきいたキラキラツイートが読んでいると癖になる。しょせんTwitterじゃん、と現実とネットを混同しないスタンスが小気味よい。

 

 この方に言及せねばガセウォッチャーと言われるくらいの有名人。年収1,000-2,000万レンジのOLさん。個人的には彼女はキラキラアカウントというよりバリキャリの気概を感じるので、キラキラウォッチャーよりも就活生が熟読したほうがいいと思う。

 

「丸の内」と頭に付けるアカウントはバリキャリの傾向があるのだが、この方もその1人。マウンティング要素ゼロなので、キラキラアカウント初心者でも純粋な心でフォローできる。

 

 育ちの良い女子系マウンター。過去ツイートを丹念に見ていくと家庭不和だったことをにおわせることも多く、彼女がなぜ育ちのいいアピールをしたくなったのか原因を推察することもできる。

 

 最後に王道・新星キラキラアカウントを。彼女たちを見る理由の1つに「バブリーな金銭感覚を見て自分の買い物欲を満足させる」ことにある。みやこさんのツイートを見ると10億円資産が無いものはつつましく暮らさねば……と感じるので倹約がはかどる。

 

おわりに

今までとりとめもなくキラキラ女子を見てきたつもりだが、思いのほかウォッチ人数が多いことに愕然とした。私ヒマなのかな。

ウォッチを始めた当時を思い出すと、激務時代のトイレ仮眠が思い出される。眠りに落ちる前、トイレから携帯で見るつかの間のキラキラは「激務には報いがあるはず」という夢を与えてくれた。

 

セレブ界の言語をインストールできるのも個人的には楽しい。少なくともシャンパンフリーフロー(シャンパン飲み放題)や、モナリザタッチ(膣へレーザーを当てて若返らせる美容法)なんてウォッチしてなかったら一生知らなかった。少なくとも、飲み会のネタにはなるだろう。

最後に、キラキラウォッチは節約になる。彼女たちが勝手に飲み、出会い、消費する世界を覗くだけでラグジュアリーは十分、と満足できるからだ。ユーズドのdiorを買いながら、新品を買うラグジュアリーさはキラキラ女子に任せる。キラキラ女子によって身の丈を教えてもらえるなら、通信費なんて安い。というのがいまのところ結論である。

 

自著の告知。もし彼女たちみたいにキラキラしたいと思ったあなたはありのままの自分を好きになる訓練をしたほうがいいかも? 自尊心を育てるエクササイズを掲載しているので立ち読みでもどうぞ。

恋愛障害 どうして「普通」に愛されないのか? (光文社新書)

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 キラキラ女子、もとを辿れば一流の夜の女性を見る憧れに近い。こちらは白洲次郎川端康成が通った伝説のバー、おそめの物語。

おそめ―伝説の銀座マダム (新潮文庫)

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闇のキラキラといえば、直木三十五中原中也坂口安吾菊池寛と歴代文士に愛された坂本睦子wikipedia)。白洲正子が「銀座に生き銀座に死す-昭和文学史の裏面に生きた女」というタイトルで追悼文を執筆、この本に収録されています。

行雲抄

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