トイアンナのぐだぐだ

まじめにふまじめ

一生いい恋愛ができないかもしれないと思っているあなたへ、恋愛障害だった私からのメッセージ

好評発売中、トイアンナの初の紙書籍『恋愛障害―どうして「普通」に愛されないのか(光文社) の発売を記念して、本文の一部を無料公開いたします。

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はじめに──恋愛障害だった私

突然ですが、こんなことを思っている方はいらっしゃいませんか。

「いつまで経ってもいい出会いに恵まれない」
「なぜいつも都合のいい女になってしまうんだろう」
「自分には、一生いい恋愛なんてできないかもしれない」
「なぜ自分が好きになる人は、自分のことを愛してくれない人ばかりなんだろう」
「こんなに尽くしてるのに、ちっとも愛されている気がしない」
「自分を好きになってくれる人を愛せないのはなんでだろう」
「恋愛なんてもうしたくないし、私の人生には必要ない」

この本は、そういった疑問や不安を解決するために生まれました。

 

私は恋愛アドバイザーとしての活動や、外資系企業時代の消費者リサーチ、就職活動支援を通して「このままでいいんだろうか」と悩んでいる五〇〇名を超える方々からキャリアや生活についてのお話を伺ってまいりました。

その中で、「キャリアに問題はないけれど、恋愛で悩んでいる」「恋愛をしたいけれど、踏み出せない」といった、恋愛に関わる深い話を伺うことも多くありました。

あらゆるご相談の中でも、「恋愛」は人生に関わる大きなトピックです。堅実な恋愛を求めているだけなのに、「振り返ってみると、同じ失敗を繰り返している」方の苦しみは、いかばかりでしょうか。

 

この本では恋愛において、対等なパートナーシップを作ることができず長期的に苦しむことを「恋愛障害」と名付けました。

失恋が辛く苦しいのは当然のことです。ですが、もし「何度も同じような失恋をする」「一回の失恋を引きずり、五年も十年も苦しんでいる」のであれば、それはあなたの人生における大きな「障害」になっていると言えるのではないでしょうか。

また、「いつも二番目の女になってしまう」「DVの被害に遭ってばかり」というほど極端ではなくとも、「恋人へ尽くしすぎて、自分の意見が言えず苦しんでいる」「彼から大切にしてもらえない」「いつも私の恋愛はうまくいかないと感じている」といった恋愛障害予備軍の方も多くいらっしゃるかと思います。

何人もの方からご相談を伺ううちに、恋愛障害の方の共通点は、過去の経験から「強烈な寂しさを抱えていること」だと気づかされました。そのため、一人でいることに耐えきれず、「自分を誠実に愛してくれない」人でも離れられなかったり、自分が傷つくとわかっている行動もやめられなかったりしてしまうのです。

 

その原因は、寂しさを自分でコントロールする術を学ぶ機会を奪われてきたか、あるいは知っているもののうまく使いこなせず「この相手は長期的に見て、将来の自分にとっていい人かどうか?」を冷静に判断することができていないのかもしれません。

あなたも自分の中に「寂しくてたまらない自分」を感じることはないでしょうか。

 

私がこれまでお話をお伺いした中には、「失敗を恐れ、恋愛自体を長らく敬遠している」方も多くいらっしゃいます。そして、そういった方を不幸にする相手もまた、同じように寂しさを抱えていることが多く、恋愛障害同士で寄り添い、お互い癒すつもりが傷つけあう関係に陥ってしまうこともあります。

世間ではよく、「ダメな人とばかり付き合う女性は、潜在的にそういう男が好きなのだ」と言われます。ただ、詳しくは本書の中で明らかにしていきますが、「ダメな人と付き合ってしまう女性」=「ダメな人が好きな女性」というわけではありません。

女性を傷つけてしまう男性は寂しさを抱えているため、恋愛障害の女性の寂しさにも気づきやすい傾向があります。女性もそんな男性に対して「この人は私の寂しさを埋めてくれる存在だ」「彼の苦しみをわかってあげられるのは私だけだ」と惹かれあうのです。

 

問題は、惹かれあうことで双方が傷つけあってしまう悲しい構造にあります。

ではなぜ恋愛障害にある方は、制御できないほどの「寂しさ」を抱えているのでしょうか。精神医学の分野ではよく、他人への愛情の抱き方には幼少期の影響があると言われます。愛情をたっぷり受けて育った人は、その愛情を他人に与えられます。それに対して愛されていないと感じて育った人は、自分の恋愛においても愛し方/愛され方がわからず苦しみます。

 

つまり、子ども時代に受けた愛情の形や接し方を、知らず知らずのうちに恋愛のパートナーや他の人間関係において踏襲しているのです。

この現実は、親子関係が良好ではなかった方にだけ当てはまるものではありません。たとえば、子ども時代に過酷ないじめや虐待を受けた方、初期の恋愛でひどい経験をした方が異性恐怖症・対人恐怖症になったり、相手へ過度に追従するような行動を取るのは仕方のないことです。私はそういった方に責任があるとは決して思えません。

本書は、これらの問題を解決し、恋愛障害の克服を目指すために書かれています。

 

 

申し遅れましたが、この本の著者、トイアンナと申します。私が数多くの恋愛相談を受けるようになったきっかけは、外資系OLとして消費者リサーチを専門としていたころに遡ります。

消費者に新製品に対しての意見や感想をインタビューしていたところ、思わぬ家庭内の相談や、人生観についてお話を伺う機会が何度もありました。

二〇一二年四月ごろからは、これら消費者調査や、就活生へのアドバイス、そこから派生したキャリア・恋愛相談実績をもとに現状を分析するブログを始めました。

 

「キャリアを突き詰めても結婚できないと非難される」
「やりがいを求めて就職しても社内で通用するスキルだけを手に入れてしまう」

といった記事がよく読まれ、月間最大五〇万ページビューを記録しました。

 

その後は恋愛キュレーションサイト「AM」や、キャリア系媒体「ONE CAREER (ワン キャリア)」を始め、約一〇媒体から連載のお仕事をいただきました。その中でも「不倫女子」を特集したインタビューや、女性の「結婚・出産を前提とする手加減をしたキャリア問題」といった記事が人気を集め、今回「恋愛障害」をテーマとした本を書き下ろすことになりました。

 

自己紹介はこの辺にしておいて……、恋愛障害の克服には次のようなプロセスが必要です。

①自分が今陥っている恋愛障害のパターンを把握する(一~三章)
②漠然とした寂しさの原因となっている、『過去』のできごとを知り、向き合う(四章)
③その原因を把握した上で過去を克服し、自尊心を取り戻す(四、五章)
④人から愛されている人の行動をトレースする(五章)

以上のプロセスによって、「寂しさ」を克服することができ、心に余裕を持てるようになります。同時に、恋愛のパートナーやそれ以外の他人からも尊重されるようになります。

 

ただ、これまで偉そうなことを書きつらねてきましたが、実は私も他人のことをとやかく言える立場ではありません。私自身が「恋愛障害」だったからです。

私の二〇代前半までの恋愛遍歴は、笑えないほど悲惨なものでした。数百万円貢いだ相手に五股をかけられた挙句、その浮気相手と結婚されたこともありました。花瓶を投げつけられたり、フライパンで殴られたりしても反抗できなかったこともありました。

「私なんかを相手にしてくれるのは、彼しかいない」「彼の苦しみをわかってあげられるのは私しかいない」と思い込んでいた、典型的な「恋愛障害」の当事者だったのです。

 

この本は、自分を実験台にして恋愛障害から脱却した体験と、これまでの恋愛アドバイザーとしての経験を踏まえ、これ以上同じ苦しみを誰にも味わってもらいたくないという思いから書いたものです。

私たちは苦しい恋愛を繰り返してしまうことを、「男運がない」とか「愛される資格がない」といった一言で片付けていいのでしょうか。行動や認知のパターンを変えていくことで、より充足感のある人生を過ごせるようになるのではないでしょうか。

 

 

恋愛障害は「私たちが一生背負うもの」ではありません。ダメな恋愛をする習慣は「私たちにたまたま刷り込まれた愛情のパターン」であり「修正できる」ものです。私は、自分自身だけでなく、多くの方が恋愛障害を克服する姿を見てきました。

あなたの中で愛情のパターンがどのように刷り込まれていたのか。
そしてどうすれば改善できるのか。
どうやって自分の力で愛される力を手に入れられるのか。

本書はこれまでの自分の経験と承ってきたご相談をベースに、時には専門書から、時には幸せな人生を掴み取った人のインタビューから帰納的に見えてきたメソッドをまとめたものです。

 

男性読者の方は「なぜ最近、恋愛障害のある方が増えているのか?」について書いた序章の後に、恋愛障害に悩む男性について書いた二章から読み始めてもいいかもしれません(一章は恋愛障害について悩む女性についての章です)。

「女性」と「男性」で分けていますが、女性の例を男性が経験することも、あるいは男性の例を女性が経験することも少なくありません。「当てはまる」と思ったら、女性の例でも男性の例でも、気にせず読み進めてください。

 

それでは早速、恋愛障害について学んでいきましょう。

 

『恋愛障害―どうして「普通」に愛されないのか』(光文社)では、そもそも恋愛障害とは何か? 恋愛障害に陥っている男性/女性の特徴、なぜその恋愛障害に陥ってしまうのか? またそこからの脱却方法は? までを詳しく書いていますので、興味のある人はぜひご覧ください。

 

恋愛障害 どうして「普通」に愛されないのか? (光文社新書)

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