トイアンナのぐだぐだ

まじめにふまじめ

在英6年の経験者による長期旅行者・在住者向け「イギリス暮らしの基礎知識」

イギリスから帰国しました。昨年移住してから約1年半。ずいぶんとあっさり帰国しましたが、学生時代から累計6年ほど住む機会に恵まれたことに感謝しています。

そこで帰国がてら実際の生活に役立つツールをリストアップしておきたいと思います。またイギリスに行ったとき、自分が忘れないためにも。 

 

 

銀行口座を作る

最初の関門、銀行口座づくりです。イギリスでは非現金社会が到来しており、なにはともあれデビットカードがないと動けません。また、その際はイギリス国内の口座が求められるため日本のクレカだとはじかれること、多数。まずは口座を作りましょう。移住はそれからです。

新参者の我々には、financial history(これまでお金を国内で使い、信頼のある顧客と認められるための経歴)がありません。ですから口座開設にも「私は変な外人じゃありません」と認めてもらう必要があり、なかなか面倒です。人によっては17回も面談に行ったという猛者もおり、大変手ごわい。

難易度低めなのがスペインに本社を持つSantander(サンタンデール)、Lloyds Bank(ロイズバンク)。いずれもいきなり窓口へ行ってもダメで、まずは面談を予約する必要があります。面談時、持ち物は以下の通り。

 

■■■ 最低限必要 ■■■

Proof of Address (住所を証明できるもの。自分が契約した賃貸契約書コピーまたは学校・職場が発行してくれる)

Utility Bill (公共料金の支払い証明。夫婦で渡航するときも自分が口座を開けるよう、あえてバラバラの名前で契約したほうがよい。電気、ガス、水道が認められる。場合によってはネット料金も認定される)

 

■ あるとなおよい ■■■

National Insurance Letter国民健康保険の番号を知らせてくれる手紙。あればベターだが求められないことも多い)

Bank Statement(預金残高証明書。日本のものでよい。英訳が必要。ビザ申請で使われてしまうので、数枚余計に取得しておくべき。Santanderでは不要だったが担当者しだいの緩い国なのでもっておいた方が良い)

Headed Letter(職場・留学先を証明するレターフリーランスは一番苦しむところ。最大手取引先に泣きつくしかないかも。求められないことも多いので面談でハネられてからでよい。署名つきの原本でないと不可なため、郵送で1週間まつことに……)

 

面談では何のために使うのか説明を求められますが、For my daily expenses.(生活費で)で普通に通りました。もしくは For my salary.(給与のため)でも大丈夫でしょう。留学生なら My parents want to send fees. (親が費用を振り込みたいから)も無難です。ざっくりどれくらいの金額を扱うか質問されますので、英会話が苦手な人はメモにでも書いておくとよいかも。年収もセットで聴かれますが、学生はゼロでOK。

 

カネを日本から送る

海外送金はまず在住者がぶつかる壁です。「え?いつもの振込じゃ無理なの?」と思って渡航すると大変後悔します。私はしました。日本のメガバンク(みずほ・UFJ・三井住友)を使うと送金・受取手数料で合計5,000円以上かかります。

しかもオンラインバンキングで海外送金をするためには事前に特別な手続きが必要で、準備に1ヵ月弱かかります。転勤命令を出されたらすぐに動かないと間に合わないレベル。しかも自宅へ手続きに関する書類が送付されるので、ビザの申請などであちこち外出している準備期間にはかなりのストレス源となります。

 

「なら一時帰国時にやればいいや」と思うじゃないですか。でもそのとき、海外在住者のあなたにはマイナンバーが失効しています。口座開けません。THE END。

そこで最近はTransferwiseを利用する方が増えました。

transferwise.com

 

Transferwiseは日本の銀行口座から日本のTransferwise口座へ振り込むだけで、海外口座へ同額を振り込んでくれるサービスです。手数料も最安。テクノロジーに感謝。ただし手続きの言語に英語が混ざります。「英語無理、怖い」という人は、楽天銀行であらかじめ手続きされるのが国内最安でしょう。それでも合計2,000円ちょっと取られますが……。

 

日本食の入手

長年、ロンドンにあるJapan Centre(ジャパンセンター)やらいすわいんをはじめとする日系スーパーでしか日本食は買いづらいものでした。ロンドン在住者はそれでいいのですが、留学先などの都合で郊外へ住む方も少なくありません。そこで大活躍しているのがOcadoです。オンラインス―パーで、日本食餃子うなぎしいたけえのき大根かぶ豆腐さば缶まで扱っています。(とりあえず私がリピートしまくった製品へリンク貼らせていただきました)

なお、現地の普通のスーパーでもそばやうどん、みりんくらいまでは手に入ります。日本から買い込んでいく食料は「最新のお菓子」「だし」「乾燥とろろ・ゆず」など限定されたものになるでしょう。主に上流階級が行く高級スーパー(Waitrose)の通販が一番品ぞろえがよいです。

 

携帯電話

日本の携帯を海外で使うと破滅的な金額になります。そこで現地プランを契約しましょう。日本のようにお店で並んで契約する必要はありません。日本であらかじめSIMフリー携帯を手に入れさえすれば、コンビニのような路面店SIMカードを購入するか、郵送を待つだけ。イギリスでSIMカードを買えばそのままEU圏内で使えますので、旅行好きにも向いています。

路面で買えるSIMカードはpay as you go(=事前チャージ型)で、Suicaのようにチャージして使い切るまで通話やネットが可能。月額プランもありますが、一時帰国も多い方にはpay as you goがおすすめです。

 

私が愛用していたのは Threeというブランドでした。

 

www.three.co.uk

とにかく通信が速いんです。数字の3がロゴなのでわかりやすい。なお月額プランだと12GBの通信・カケホーダイで15ポンド(約2,300円)。や、安い……! Pay as you goだと同プランで20ポンド。これでも安い!

 

 

移動する手段

まずは移動する「マップ」を手に入れましょう。ロンドン民よ、あなたは恵まれています。Citymapperというアプリで物事はすべて片付きます。道の歩き方から駅の出口まで懇切丁寧に教えてくれるうえ、電波の届かない地下鉄でもオフラインで使える親切設計。さらに日本語表記ありです。しょっちゅう遅れたり運休になる地下鉄のトラブルも更新してもらえます。

ロンドン郊外民は、Googleマップを普通に使うことになるでしょう。

 

お次に公共交通機関について。

真っ赤な2階建てバス、憧れるかもしれませんが前述のCitymapperなしに乗車するのは難易度がエクストラハード。

お金に余裕があるなら気軽に移動できるUberへ。ロンドンは小さな都市なので、5ポンドで結構な距離を移動できます。イギリスの伝統的タクシーことブラック・キャブは「Uberに比べてうちの方が質が高い」と主張しております。が、右左折でウインカーは出さないわ、派手に煽り運転するわで何も信用できません。ロンドンで営業免許を禁止にする騒ぎがあったのですが、ズルズル延期中。2018年4月までは継続しているようです。やったね。

 

美味しいご飯にありつく

イギリスの飯。99%は微妙です。激しくマズくもないが、うまくもない。そして予算はまっとうなレストランなら酒込みひとり100ポンド(1.5万円)くらい。シビれますねえ。予算はざっくり日本の同グレードの店の倍くらいを想定したほうがよいです。というわけで、気に入った店を延々ルーティーンで回すことになるでしょう。

基本的にイギリスの店は「六本木ばりにドゥンドゥン音がうるさく、内装がラグジュアリー」なら繁盛するしくみになっています。客入りで味はわかりません。

信頼できるレビューはあまりないものの、OpentableGoogleマップに付随するレビューはある程度確かです。日本人の口コミは意外と役に立ちません。在住例が長くなると、味のスタンダードが劣化して多少まずくても喜ぶ体に調教されてしまうからです。

 

以下、ロンドンで美味しかった店をリストアップします。感想は略しますが、いつか別の記事で書くかも? カッコで併記する数字は私が使った平均1名あたり予算(ポンド)です。

 

■■■ 中華 ■■■

Royal China(50)

Bashu(50)

 

■■■ 和食 ■■■

Miyama(50)

Umu(150)

Ippudo 一風堂 (20)

 

■■■ インド ■■■

Trishna (100)

The Rajdoot Indian Restaurant (30)

 

■■■ アフタヌーン・ティー ■■■

The Goring (70)

 

■■■ フレンチ ■■■

 Les 110 de Taillevent (100)

 

■■■ イタリアン ■■■

Macellaio Roberto Costa (70)

 

けっこう食事好きなほうで外食するんですが、1年半努力の限りを尽くしてもこれだけしか美味しいレストランがなかったというのはやっぱり異常です。日系企業のチェーンすら油断なりません。なお、有名店でもUber Eatsに登録している比率が高いので無理して外食せずともUber Eatsを活用するのもあり。

 

医療を受ける

イギリスにはGP(かかりつけ医)制度があり、無料で医療を受けられます。ただし骨折でも数日待たされるなど、けっこう質が問われますが……。事前登録が必要なので、まずはここへ郵便番号を入れ、近くの病院を探しましょう。★5つで評価がついているので、それを参考に近隣でよい病院を探します。

行き先が決まったらふらっと病院を訪れ「I'd like to register the GP in here. I am a newcomer to this country.」(GP登録したいです。海外から来てすぐの人間です)といえば滞りなく進みます。

なお、イギリスには別途私立病院もあり、比較的マシな医療を受けることはできます。ただし風邪でも300ポンド(4.5万円)くらい取られます。市販薬使っておいたほうがまし。いい会社へ就職すると私立病院代金を保険でカバーしてもらえるので、現地就活される方は気にしておくとよいでしょう。駐妻さんは旦那さんの会社がいくばくかはカバーしてくれるはず?

 

おわりに

とりあえず暮らしに必要な最低限の暮らしはこんなものでしょうか。住んですぐの目標は「メンタル病まない」ことです。環境の変化は大きなストレスになります。無理していろいろなアクティビティへ参加せず、最初は慣れることに気を使ってください。健闘を祈ります。

 

 イギリスへ行くなら必読書。イギリス料理の深淵なる微妙さを味わえます。本当は美味しいとか、最近美味しくなってきたとかウソです。

イギリスはおいしい (文春文庫)

イギリスはおいしい (文春文庫)

 

 

 留学生向けの費用や準備すべきことはこちらにむかしまとめました。

toianna.hatenablog.com

 

さらに昔、国費留学で毒親から逃れる手段についてご紹介しています。

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