【勝訴しました】はあちゅうさんとの名誉毀損をめぐる高裁判決のお知らせ
はあちゅうさんから2020年8月にいただいた訴状に応じて始まった裁判にて、地裁に続けて東京高裁においても勝訴いたしましたのでお知らせいたします。
はあちゅうさんとは、どんな方か
はあちゅうさんは、ブロガーで作家です。慶應義塾大学在学中からブログを執筆し、卒業後は電通を経てトレンダーズへ入社、「キレナビ」編集長などを歴任しました。2014年から個人での活動が忙しくなったことを理由に、トレンダーズを退職。2018年にはセクシー男優・しみけんさんとの事実婚を公表しましたが、2022年に離婚を発表しました。現在は、息子さんを育てるシングルマザーです。
私の認識が正しければ、はあちゅうさんは「ブロガー」という、ブログで仕事をもらい、食べていく仕事を生み出した最初期のひとりです。それまで「ブログは趣味の領域でやっていくもの」という認識が強かった中で、ブログで食べていくことを可能にし、新たな職業を作られたという意味で、インターネットにおける功績はとても大きいと思われます。
はあちゅうさんは現在にいたるまで、アメブロ、note、voicy, オンラインサロン、YouTube、VALUなど新しいサービスが生まれたタイミングですぐに試し、告知することで各種サービスの知名度向上に貢献しています。執筆業のみならずインフルエンサーとしても人気があり、2022年12月現在、各種SNSで数十万人のフォロワーがいらっしゃいます。
また、近年は小説執筆にも力を入れておられます。著書の中でも、2017年に出版された『通りすがりのあなた』は私が好きな小説のひとつです。作中で日常のささやかなシーンはクリアに切り取られ、情景となります。余韻として残る風景は、どれも私たちが置き忘れてきた、きらめきの一部です。
さて、本記事の執筆者であるトイアンナは、はあちゅうさんから名誉毀損で訴訟を起こされていました。その経緯について、次の段落で説明いたします。
はあちゅうさんから提起された訴訟とは
はあちゅうさんは、かつてご自身の妊活を発信されていた過去があります。その際に、「リアルタイムで妊活を発信する」と投稿されていました。しかし、妊娠発表時期から出産までの日数、そして前後の投稿などから、実際には妊娠してからも妊活を続けていたかのように振る舞っていた疑惑がありました。
これにより、多数の方が傷つき、または批判を表明しました。
はあちゅうの妊活日記…たとえばガン闘病日記で、実は途中からはガンじゃなかった事が判明してたけど「病気に負けず頑張ります!」とかUPし続けてたようなものなんだよ。絶望と戦いながら長年不妊治療してる人の共感や応援の気持ちを踏みにじったんだよ。妊娠した事自体を非難してる人なんていないし。
— pnpn (@mpnula) 2019年3月30日
はあちゅう氏が妊活アカウントたちにボロクソ言われてて草。
— 柏原 (@Gohanyurufuwa) 2019年3月27日
3月20日に妊娠検査薬が陰性だと投稿して、今日妊娠したと発表。しかも秋出産予定(性別までわかってる)。今年頭から妊娠がわかっていながら妊活コンテンツをやっていたとなると底意地が悪いマウント行為だと捉えられても仕方がないよな😑
それを踏まえ、私は以下の投稿を行いました。
はあちゅうさんが物を宣伝するとよく売れる。だから仕事が絶えない。近い業種だからよく存じてます。けれど、妊活の本を出して売れたタイミングで「実は妊活について書く前から妊娠していました」は冒涜ではないですか、読者を、妊活する方をなんだと思っているのですか。
本投稿について、はあちゅうさんから投稿を削除するようご依頼をいただきました。特に反対する理由はなく、私は削除に応じました。しかし、その後、この投稿に対し名誉毀損だと改めて訴状が届きましたので、対応することとなりました。
このとき、はあちゅうさんには私がまるで意図的にデマを広めたかのようなブログを投稿されてしまいました。
こちらについては、現在も削除されていません。
はあちゅうさんとの裁判経緯とこれから
2021年10月26日に、東京地裁で判決がおりました。その結果、私は名誉毀損をしていないことが明らかになりました。
その後、はあちゅうさんから控訴が行われ、2022年12月21日に高裁判決にて控訴が棄却されました。このため、改めて私の発言が名誉毀損ではなかったことが、確認されました。
地裁のタイミングではあちゅうさんから一度和解案を出していただいたのですが、「内容について相手の同意を得ずに公開しない」という点において私側と合意することができませんでした。そのため、和解へは至らず地裁判決を待つこととなりました。
※はあちゅうさんが最高裁判所への上告を選んだ場合、裁判はまだ続く可能性があります。そのため、高裁判決は現時点での経過報告となりますことを、予めご容赦いただければと思います。(追記:2023/1/3 最高裁へ控訴されませんでしたので、これにて判決が確定いたしました)
はあちゅうさんとの高裁判決に伴う、トイアンナからのコメント
2019年の投稿をきっかけに、裁判を通じ大変長くみなさまをお付き合いさせてしまう裁判となりました。まずはご支援、応援いただきましたみなさまに、厚く御礼申し上げます。
地裁判決の際も読者のみなさまにTwitterなどでお願いさせていただきました通り、この件を通じてはあちゅうさんへの誹謗中傷をなさらないよう、お願い申し上げます。はあちゅうさんは訴訟を起こされた当時、多くの嫌がらせにあたるメッセージを受け取っていたそうです。いかなる理由があろうとも、そして誰に対してであっても、批判の域を超えた中傷は許されるものではありません。
実は、私もこの裁判を起こされた当初、はあちゅうさんのファンを名乗る方から、誹謗中傷を受けつらい思いをいたしました。また、「訴訟をしあっている関係なのだから、どちらも似たようなもの」といった心無い言葉も受けました。訴訟に巻き込まれていることを理由に、お仕事が無くなったこともございました。勝訴できると信じてはおりましたが、それでも心にくるものがあったのは事実です。
従って、今回の判決が新たな誹謗中傷ではなく、自由闊達な意見のやりとりが生まれる土壌になることを願ってやみません。どうか、誰に対するコメントであっても人格ではなく投稿や作品への批評、論評に止め、建設的なコメントがネットに増えますよう、みなさまのお力をいただけますと幸いです。
最後に、本件でかなりの弁護士費用を負担することになりました(訴訟は、たとえ勝訴しても弁護士費用を相手方が負担してくれるものではありません)カンパは募集しておりませんので、もしみなさまの周りで「自社メディアの運営を誰かに相談したいな」という方がいらしたら、以下からご連絡いただけますと幸いです。
寒い日が続きますが、どうか温かくして良いお年をお迎えください。
感謝を込めて
参考:地裁判決時のご報告投稿