「これ、広告だったのか!」 簡単なステルスマーケティングの見抜き方
ブログなどで「これ、広告だったのか!?」と後で気づくような「おすすめ記事」を見たことはないだろうか? 本稿ではこういった紛らわしい広告と純粋なオススメ記事を見分ける方法を広告依頼主だった目線からお伝えしたい。
そもそも、ステルスマーケティングとは
ステルスマーケティング(ステマ)という広告の出し方がある。ブログなどでスポンサーがいるにもかかわらず、それを隠しながら「この商品、おすすめです♡」などと掲載する行為だ。たとえばこんな文章がブログにあったとする。
私はトイアンナさんの大ファンで、電子書籍が出るって聞いてすぐ予約しちゃいました♡ 分析が鋭いし、具体的な恋愛指南が胸に刺さるんだよね~~!12月発売みたいです!
もし私=トイアンナがこのブログを書いた人へ「1万円払うから電子書籍を薦める文章買いてよ」と依頼していたらどうだろうか。
ブログの書き手は本当のところ「トイアンナ?ネットによくいる自称恋愛のプロでしょw」と思っていても、私を褒めちぎるだろう。読者は影響されて書籍を買うかもしれない。これをステルスマーケティングと呼び、早い話が違法行為である。
だが広告主だって、さるもの引っかくもの。いかにして法の目をかいくぐりながら有名ブロガーに商品を薦めてもらうかを考える。
その結果、長文で商品を褒めちぎってもらい、文章の最後に「これは○○社様のスポンサー広告です」と小さなフォントで記載してもらうなど、小手先の技術を駆使する企業もある。なお、景品表示法に引っかからない最小フォントサイズは8ptと慣習的に言われている。
こういう技術を使われたら一般の方はどうやってステマを見抜けばいいのだろうか? 次の項目で「純粋なオススメ記事」しか持ち得ないものをお伝えしたい。
ステマは「用途外の使用」を薦められない
一般的なオススメ記事では、商品が通常使われる用途以外でも薦められることがある。有名なものだと山善の食器乾燥機がある。
こちらはレビューを見ていただくと、全く食器乾燥機としてはオススメされておらず「プラモデルの乾燥に最適」との絶賛が相次ぐ異常事態となっている。もしマーケティング部門があるならば、すぐさまこの製品を「プラモ乾燥に最適! コンパクトドライヤー」とでも改名したいところだ。だが、それはできない。なぜか。
もし山善がプラモデルを乾かす用途でこの食器乾燥機を宣伝するならば、研究開発部でどんな形状のプラモデルでも溶かさずに安全使用できることを立証するデータを用意せねばならない。そうしないと、苦情が来たときに訴訟で負けるからだ。だが、プラモデル乾燥というニッチな用途で売り出すためにそこまでの予算を研究開発部が割けるかといえば、応えはノーだろう。結果として山善は「食器乾燥機」としてしか本製品を売り出していない。
ステルスマーケティングは、スポンサー主がいて初めて成り立つ。その際にブロガーが勝手に「お~いお茶って、すごく美味しいだけじゃなくて、実は床掃除にも使えるんです!」などと言い出したら、広告主の伊藤園は床掃除にも利用できることをデータで立証しなくてはならない。そんなことに予算割けるか、と一蹴されるだろう。
かくして、ステマ記事は公開前に用途外のメリットを削除されることになる。だからファブリーズは除霊できないし、ワセリンはピアスの潤滑剤に使っちゃダメなんだってば!
ステマでは商品を一切ディスれない
当たり前だが、どんな商品にもメリットとデメリットがある。
私が愛用しているコイズミのドライヤーは大風量で髪をすぐ乾燥させられるが、結構重いので女性には持ちづらいかもしれない。何ならちょっと高いし。
KOIZUMI(コイズミ) MONSTER【乾燥時間40%オフ 大風量 マイナスイオン】ダブルファン ドライヤー レッド KCD-W701/R
- 出版社/メーカー: 小泉成器
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だが、ステルスマーケティングでは商品の「デメリット」部分を記載できない。社内のお偉いさんが「ここ、取ったほうがいいんじゃないの」と指摘するからだ。そりゃ、お金を出してわざわざ広告を出すのに、欠点を書かれていい気はしないだろう。
だが、いい商品にこそデメリットはつきものだ。ONE PIECEは全ての少年心を掴む最高の漫画だけど、サブカル属性とは相性が悪いぞ、とか。東野圭吾は泣けて感動できるけど、岩波文庫を愛読するタイプには薦めづらいな、とか。
こういった両面性こそが商品レビューの魅力だが、ステマではデメリットが削除されてしまうので妙に褒めちぎるキモチワルイ文章になりやすい。スポンサーでも平社員はデメリット記載されるのも歓迎するんですけどね、お上がね、ムリ。
まとめと私のおすすめ
と、ここまでステルスマーケティング(もどき)の見抜き方をお伝えしてきた。
なぜこんな記事を書きたくなったかというと、ある画期的な商品をブログでオススメしたくなったのだが、普通に書くと「ステマかよ」と決め付けられそうだったからだ。
オススメする商品はリステリン。 こいつでうがいをしたら、喉風邪の悪化を防げたっていう話を書きたかった!
薬用 LISTERINE リステリン トータルケア 1000mL [医薬部外品]
- 出版社/メーカー: ジョンソン・エンド・ジョンソン
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- メディア: ヘルスケア&ケア用品
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私はよく風邪をひくのだが、プレゼンが多いので喉をやられるとキャリアに関わる。というわけで予防策がないか悩んでいた。
ある朝、起きたら喉がヒリヒリする。「このまま悪化すると、ヤだなぁ」と思っていたら視界に入ったリステリン。「うがいしたら、喉も殺菌できるんだろうか?」と思いつきでやったらすぐに治った。めっちゃ感動した。これからのシーズンにオススメ。
なお、うがい中は喉に激痛が走ります。
この後、刺激が低いシリーズで試したら予想以上に口内で泡立ってしまい、続行不可能だった。泡立ちから考えても、激痛の走る紫色のやつでうがいするのがいいようだ。
私からのおすすめは以上。ジョンソン・エンド・ジョンソンさん、もし気づいたらご連絡ください。私の銀行口座をご連絡いたします。
おそまつ!