就活で「やりたいこと探し」の沼に落ちる学生が多すぎる
やりたいこと、って何だ。
という疑問を持っている21歳は少なくない。
当然だ。
やりたいことが決まっている学生は、とっくに実現するための行動を起こしている。
起業なりYouTube/TikTokなり、「実現するための道のり」をとっくに歩んでいるものだ。
だから、普通の就活生にとって「やりたいことがない」のは至極まっとうで、普通のことなのである。
なぜ企業は「やりたいこと」を就活生へ聞くのか
ではなぜ、企業は就活でやりたいことがないか、就活生へ質問するのか。
答えは簡単で、「これから……"本当にやりたいこと"に目覚めて、せっかく入社した弊社を辞めたりなんて……しないよ……ねっ?」と不安になっているからだ。
企業にとって、早期離職はそれほど怖いことなのである。
というのも、多くの日系企業は「30歳までは下積み」くらいの気持ちで、若手を育てる。
つまり、30歳くらいまでの社員へ支払う給与は赤字覚悟なのだ。
だから、応募企業の中に"やりたいこと"がありそうな就活生を求めている。
そうすればずっと、自社の中で「やりたいこと」を実現し、会社を辞めないでいてくれるからだ。
就活生が誤解する「やりたいこと」
一方、就活生は採用側の事情を知るよしもなく、「やりたいこと」をシンプルに聞かれたものと誤解してしまう。
そして、「自分のやりたいことってなんだろう」と哲学的思考にハマってしまうのだ。
哲学をするなとは言わない。
むしろ、学生のうちに人生でやりたいことを探すのは素晴らしい試みだ。
だが、わざわざ就活のフレームに当てはめて「やりたいこと」を探さなくていい。
- 誰よりも早く家に帰ってプラモデルを塗装するために生きる
- 仕事人間になって出世へ命を捧げ金と権力を手に入れる
- 専門職として、出世せずともやりがいを感じたい
- そんなことより寝ていたい、睡眠こそわが命
と、「やりたいこと」は人それぞれ、就活のフレームにとらわれずあるものだ。
その本音を探す旅は、30代までに見つければ十分だ。
あの孔子だって「40(歳)にして惑わず」と言ったのだ。
40歳まで、孔子だって惑いまくりだったのである。
我々凡人だったら、80歳までオロオロ人生に悩むかもしれない。
でも、それでいいのだ。
就活対策としての「やりたいこと」語り
では、就活対策としての「やりたいこと」はどこで見つけるべきか。
答えは、企業研究の中にある。
先程述べたとおり、企業は「あなたが辞めないか」だけを心配しているのだ。
だから、「その会社を辞めなさそうな、都合のいい"やりたいこと"」が何かを、調べて考えるのだ。
という手順で、企業へ「やりたいこと」を語ればいい。
こんなの嘘だ、と思うかもしれない。
だが、今「真実」のやりたいことを語ったところで、30歳で同じ「やりたいこと」を持っていられるだろうか?
あなたは今から10年前、同じ「やりたいこと」をベースに生きていただろうか。
おそらく、全然異なるプリンシプルで生きていたのではないか。
人は変わるのだ。
そして、変わる前提で就活では「入りたい会社に入る」という目標を達成するほうが、よほど生産的ではないだろうか。
就活で「やりたいこと」の嘘をつく必要はない
もちろん、完全な嘘をつく必要はない。
「絶対にやりたくない」ことが、やりたいことに変わる可能性は低いからだ。
100%嘘をついてまで「やりたいです!」と言わなくてはならない会社なら、
そもそも受けないほうがいい。
あなたの「やりたいこと」に近い会社があるなら、ぜひ第一志望群に入れてほしい。
大事なのは就活"ごとき"で質問される「やりたいこと」に、人生哲学を委ねないことである。
あなたの人生は、就活なんかよりずっと、ずっと大事なものだ。
だから就活で「あなたって、弊社を辞めたりしないよ……ね?」という意図から繰り出される
やりたいことに、人生を掛けなくてもいいのである。
就活記事をもっと読みたい方はこちら
志望動機の書き方など、より具体的な「やりたいこと」を書き記すテクニックをご案内。
就活以外で出会いがなくなってしまったコロナ世代に向けて、恋愛指南をした記事。