トイアンナのぐだぐだ

まじめにふまじめ

最新版:イギリスのEU離脱へ理解が深まる、押さえておきたい英語表現6つ

イギリスの国民投票EU離脱が賛成多数となった。離脱を促したUKIPは週に3億5,000万ポンドのEU拠出金を健康保健に使い、移民の数を制限しようと呼び掛けた。離脱発表から一夜明けてUKIPの代表はあっさりと「そんな公約をした覚えはない」とてのひら返し。金額を下方修正したうえ、移民の制限は「少しできるだけ」と言ってのけた。

これには離脱派もぶち切れたのか、再度国民投票を呼び掛ける署名は現時点で約390万人に登っている。議会が話し合う義務を負う最低署名数の10万人を大幅に超える結果だ。もともと残留を見込んでいた金融機関は過敏反応。すでにJPモルガンはイギリス国内社員の25%を他の拠点へ移す考えだ。

 

と、ここまで「しっちゃかめっちゃか」という単語がお似合いなイギリスの現状だが、この数日は多くの造語が生まれた期間でもあった。難しいニュースを読まずともTwitterでこれらの単語を検索すれば、多くの「今」を知ることができる。

日本語の情報が限られている今だからこそ、検索キーワードに放り込むことで現地の感覚を得てほしい。さらにめぼしいツイートをピックアップしたので、そこから英語学習に繋がれば嬉しい。

 

Brexit

Britain (英国)+ Exit(退出)の造語。もともと離脱派も盛んに使っていた用語。

こちらはジャーナリストのツイート。イギリスに続いてギリシャポルトガル、イタリア……とみんなEUを去ってしまうだろうとそれぞれ「離脱」を示す英語と国名を組み合わせて表現した。最後にAdiEU(さよならEU)で占めるのが何とも。

 

Brexit2

英国時間の今日、イングランドがサッカーのEURO2016でも敗退。「1週間のあいだに2回もEUから撤退した」というわけで、Brexit × 2回でBrexit2。現在もハッシュタグで大ヒット中……。

 訳:イギリス、それは1週間に2度もヨーロッパから離脱した国。

チャールズ皇太子の公式ツイッターアカウントではないので注意。

 

Bregret / Regrexit

前者がBritain(イギリス)+ Regret(後悔する)、後者はRegret(後悔する)+ Exit(退出)の意味。いずれもUKIPが離脱後に「公約はうっそぴょーん」をしてから怒涛の如く生まれた言葉。どちらも日本人にとって発音しづらいと思うので、いい英語の発音訓練になりそうだ。

日本人にとって発音練習がいかに重要かはこちらに書いたので参考まで。

教師さえTOEIC700点に届かない日本で、カタカナ英語から脱却する方法 

 こちらは実際の投票用紙をもじって作られた皮肉。実際に行われた「イギリスはEUに残留すべきでしょうか、それとも離脱すべきでしょうか?」という紙の下へ「ほんとに?」と記された2番目の質問がある。そして真ん中の答えはOnly if my vote dosen't make a difference.(もし私の票で結果が変わらないならね)という痛烈な記入欄が。

 

こんな皮肉が生まれたのは、ある離脱派女性のインタビューが「ドタマに来る」ものだったからだ。

I would go back to the polling station and vote to stay, simply because this morning the reality was hitting in. I'm actually daunted that we have left the EU.

訳:(もし戻れるなら)今から投票所へ戻って残留に投票したわ、だって今朝になって現実が襲ってきたんだもの。私たちが本当にEUを離脱したってことに、おびえてるの。

 実際の映像はこちらで見られる。この映像を始めて見たときは移民ですらない私も怒りを覚えた。なお映像のタイトルは「離脱派はEUに残留するものと思っていた」という、何言ってるんだこいつ案件である。

 

Article 50

EUのルールを記した欧州連合条のうち、離脱について記した50条のこと。原文をざっくりまとめるとこう書いてある。

1.どの加盟国も連合から脱退できる。

2.脱退を決めたらEU理事会へその旨通知すること。

3.通知から2年後に、EUの適用から外れる。

4.再加入においては49条のルールを適用する。

念のため49条も調べたところ、再加入時も差別せず審査しますよとのこと。つまりBrexitから何年たっても迷惑をかけたドイツさんとフランスさんへ侘びを入れればなんとかなるということだ。EUの元となっているリスボン条約の原文はこちら

 

 

Islamophobia

Islam(イスラム) + phobia(恐怖症)のこと。Brexit以外でも使える単語。今回の離脱運動はレイシズムでないとUKIPは主張した。が、もちろん差別主義者も支持層には含まれている。ヘイトクライムですでに逮捕者が出ている。

イングランドの北にあるニューカッスルでは「STOP IMMIGRATION START REPATRIATION(移住を阻止し、本国へ送還してしまえ)」との横断幕が。いたるところに暴動が起きるようなマッドマックス状態からは程遠いものの、少しずつ不穏な空気は漏れ出ている。BBCのレポーターであるKotechaさんのツイート。

訳:とてつもないショック:家のそばで「p**i」呼ばわりされた。80年代からこんな言葉聞いたことすらないのに。

※p**iの伏字部分は不明。差別語と思われる。後日読者さんからご指摘いただきました。確かにその差別語、しばらく聞いてなかったから脳裏にも浮かびませんでした。

 

Shift on Political Climate

すでに離脱は決まったのだからと、未来を仰ぐ者もいる。イギリスのシンガーソングライター、リリー・アレンの発言は1,000回以上リツイートされた。

 訳:私がこんなこと言うとは思わなかったけれど、「恐怖のプロジェクト」が効いたのかな。今私は Brexitと政治の風向きが変わることを喜んでいます。

 

後悔、レイシズム、そして新しい希望……まだ未来は見えないBrexitの今が、少しずつ国民は前を見ようとしている。

 

6月26日にはロンドンでLGBT(性的マイノリティ)の権利を願う大々的なパレードがあった。路上ではビールを飲んだマイノリティも、マジョリティも混ざり合ってパレードを祝った。主催者はこう語る。

"In the wake of the horrific mass murder of LGBT people by an Islamist gunman in Orlando, we are highlighting the need for dialogue, unity and solidarity between the Muslim and LGBT communities - to oppose all hate."

訳:アメリカ・オーランドにおけるLGBTを狙ったイスラム教徒による恐ろしい大量殺戮の後、私たちは対話、協同、そして連帯の必要性をムスリムLGBTの間で強調してきました。全ての憎しみへ対抗するために。

 全ての憎しみに対抗する力は、いまLGBTに限らず分断されてしまったイギリス全土が必要としているのかもしれない。