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トイアンナのぐだぐだ

まじめにふまじめ

【保存版】数千冊は読書した私が勧める、あなたの人生を変えるかもしれない30冊

「面白かった!」と思える本に出会うのはたやすいけれど、人生を変えるほどの衝撃を与えられることはめったにない。ネットでよくオススメされている本は悪くないけれど、優等生的すぎる。人生が本で変わるのはもっと生々しい、読んでいて声が出るような体験だ。

ask.fmで「影響を受けた本は何ですか」と質問いただくことも多かったので、私の人生を変えてしまった30冊の本をリストアップした。私の人生を変えた本で、もしかするとあなたの人生も変わるかもしれない。できるだけ無料版の文献へURLを貼ったので、いますぐ手元で楽しんでくれたら嬉しい。

 

 

日本文学

ちいさいモモちゃん (講談社文庫)

ちいさいモモちゃん (講談社文庫)

 

読書初心者ならまず読んでほしい、児童文学の傑作。シリーズものなので続けてどうぞ。モモちゃんとアカネちゃんの姉妹がときに喧嘩しながら成長していく。だがパパとママは「同じ植木鉢にいられない別々の木」になってしまい、別の植木鉢に住むことに。そしてパパには死神が訪れる……。

 

著者が自身の離婚と死別を子供へ説明するために書かれたというこの児童文学は、辛い人生もあたたかく愛に溢れた言葉でつづられる。同じ植木鉢に住めない2人もいる、それは悪いことではないのだとすっと理解できた。

 

藪の中

藪の中

 

Kindle無料。芥川龍之介の短編。殺人事件を思い思いに当事者が語るものの、結局真相が何かは「やぶの中」。人は自分が正しいと思ったストーリーを語るものだ、真相がなんであるかは、人それぞれ違うものだという大きな学びを得た。

 

モオツァルト・無常という事 (新潮文庫)

モオツァルト・無常という事 (新潮文庫)

 

 批評もまた文学作品だと教えてくれる1冊。ぜひ実際にモーツァルトを聴きながら読んでほしい。クラシックを知らない人にも「かなしみは疾走する」という言葉が染み渡る。本は視覚だけでなく五感で味わえると教えてくれる。

 

春琴抄

春琴抄

 

Kindle無料。春琴という性格に難アリな美女へかしずく男の一生を描いたぱっと見・純愛小説なのだが、最後の最後にとんでもない事実が書かれていた。純愛を夢見ている人は、この小説で目を覚ますことになる。私もいい意味で「もうこの人しかいない」という妄想から抜け出せた本。

 

女生徒

女生徒

 

Kindle無料。太宰治は短編がすごくいい。文字を追っているだけで「そんな言葉の選び方があったか」とときめいてしまう詩編の塊だ。「朝の寝床の中で、私はいつも厭世的だ。いやになる。いろいろ醜い後悔ばっかり、いちどにどっとかたまって」なんて瑞々しい繊細な言葉の選び方は、枕草子と匹敵するんじゃなかろうか。

 

枕草子―付現代語訳 (上巻) (角川ソフィア文庫 (SP32))

枕草子―付現代語訳 (上巻) (角川ソフィア文庫 (SP32))

 

というわけで枕草子。無料でも読めるけれど、現代語訳がないと厳しい方も多いと思うのでこちらを。「春はあけぼの」以降に名文が多いのでぜひ。感性の鋭さ、新鮮さは一行ごとに心を洗い清められる。

 

お目出たき人 (新潮文庫)

お目出たき人 (新潮文庫)

 

 この本を読むまで、私はどんな人とも「話せばわかる」と思っていた。しかし話しても無駄なヤツはいるものだ。最近ブログで書いた「ストーカー被害に3件遭った経験からわかった「あいつら」を寄せ付けない方法 」にもつながる、理解できない人間の話。

 

蹴りたい背中 (河出文庫)

蹴りたい背中 (河出文庫)

 

 いきなり現代ものだが、今の言葉だからこそ響く言葉もある。綿矢りさの言語センス、特に「ひとりぼっち」に触れたものは他の追随を許さない。

さびしさは鳴る。耳が痛くなるほど高く澄んだ鈴の音で鳴り響いて、胸を締めつけるから、せめて周りには聞こえないように、私はプリントを指で千切る。

 これ以上の書き出しを、私はまだ知らない。

 

ニングル

ニングル

 

 倉本聰といえば『北の国から』シリーズの脚本で有名だが、個人的にはこちらのほうがいい。人間には知る権利があるけれど、知らない権利もあると教えてくれる優しい童話。

 

外科室

外科室

 

 Kindle無料。上述の『お目出たき人』とは真逆で、小説にしか存在しえない純愛をこれでもかと短編へ濃縮した美しい作品。美文を学びたいなら必読の1冊、であると同時にリアルでこんなことがあったらと思うと背筋がゾッとする。純愛は赤の他人から見るとホラーにもなる。

 

ドグラ・マグラ

ドグラ・マグラ

 

Kindle無料。世のサブカル文学男子が愛してやまない「読んだものは狂う」と言われる本。実際はそんなことない。建築物のようにしっかりと計算された構造美に目を離せない。「なるほど、ここであの話がこう戻ってくるのか」と膝をたたく名作。

 

気の毒な奥様

気の毒な奥様

 

Kindle無料。短すぎて短編とすら呼べないかもしれないので、読書が苦手な人でもすぐ読める。喜劇のような一コマを描いているが、岡本かの子ジェンダー観が垣間見える傑作。男は男らしく、女は女らしくそれぞれ高等であれという論旨は『異性に対する感覚を洗練せよ』でもっと知ることができる。あまりに意識が高すぎて賛同はできないが、ここまで言い切る格好はいい。

 

香爐を盗む

香爐を盗む

 

Kindle無料。岡本かの子に応えるように、女性の理想像を描いた短編小説。 「結局とんでもない美女に振り回されて、責任取らされる前にばったり死んでほしいんだな」というファム・ファタールの塗り絵をしているような作品。このテンプレを1つ知っていると、他の作品を読んだときに視野が変わってくる。

 

Kindle無料。高浜虚子がいた時代は「俳句はロックだぜ、形式ぶっ壊してベイベーだぜ」といった風潮が強かったためそれに呼応して生まれた名作。ただし俳句の初心者が読むとわかったつもりになって決して俳句ができるようにはならない。その点は『麻雀放浪記』と似ている。

 

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)

 

 最近また売れていたので、ご存知の方も多いかも。ロシア語の通訳として大活躍した米原万理さんが、自分の育った旧ソ連圏への旅を記した。共産主義って何?と思った方はこの本から始めたほうが分かりやすいだろう。政治は人の手には負えない化け物で、私たちはそれに振り回されつつもどうにか生き延びていくのだ。

 

非色 (角川文庫)

非色 (角川文庫)

 

 私が人生で1番影響を受けた本。戦後すぐにアメリカ兵士のもとへ嫁いだ主人公は、そこで差別を目にし続ける。人種差別とは単なる肌色の問題なのか? 黒人の妻、滞在歴が長い日本人と短い日本人の間では差がないといえるのか……。1967年のズートピアだと思ってご覧いただきたい。絶版だが中古本でもぜひ。

 

海外文学

トルストイ民話集 イワンのばか 他八篇 (岩波文庫)

トルストイ民話集 イワンのばか 他八篇 (岩波文庫)

 

オススメしたいのはこの本に収録されている『人にはどれほどの土地がいるか』という短編。よくある民間伝承的な物語といえばそれまでだけれども、自分にふさわしい土地の量を知っている人間が、どれだけいるだろう。 

 

ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)

ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)

 

人生がうまくいっている人は、うまくいっていない人間を考えたことがあるだろうか。もし光当たる場所にいることを運ではなく実力だと思う人がいるなら、この本を読んで欲しい。この「白水Uブックス」は知られざる名著がたくさんあるので、本作以外もたいへんおすすめ。

 

夜と霧 新版

夜と霧 新版

 

強制収容所で人の心はどう生き延びていったのか。医師として生還した著者の冷静で温かい分析。極限の心理から人には理性がある、勇気があると信じられるようになる。10代のころ何度も読みすぎて、ボロボロになった1冊。

→読者さんから指摘あり、場所がアウシュビッツじゃなかったので訂正しました。失礼しました。

 

わが闘争(上)―民族主義的世界観(角川文庫)

わが闘争(上)―民族主義的世界観(角川文庫)

 

上記の『夜と霧』とセットで読みたい。悪行にも理由があり、支持される理由があったことがわかる。実は一時ネトウヨだったのだが、この本で立ち返った。あまり翻訳がいけてないのでずっと読んでいると眠くなるかも。本としては読まず、著者のフレーズごとを切り取ると響くものがある。

 

ペスト (新潮文庫)

ペスト (新潮文庫)

 

極限状態ものが好きなら、ノンフィクションは『夜と霧』に、フィクションなら本作に軍配が挙がるだろう。ペストに襲われた村で絶望的な戦いを続ける医師は、何をよすがに生きるのか。他人を救いたいという良心はどこから生まれるのか。下手なパニックゲーム物の漫画は二度と読めなくなるくらいの圧倒的な物語。

 

定本 想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行 (社会科学の冒険 2-4)

定本 想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行 (社会科学の冒険 2-4)

 

ネトウヨから立ち直る契機になったもう1冊の本。国とは何か、愛国とは何かを冷静に知ることができた。

私は就活指導もしているのだが「日本を愛しているので、この良さを世界へ広めたい」と言い出す子が311以降急激に増えている。留学経験者も「テレビで日本は世界中から愛されていると聞かされていたのに、留学先で中国と混同されてショック」という体験談も聞く。彼らへバランス感を養ってもらうため、この本を勧めることが増えている。

 

故郷

故郷

 

 教科書に載っている作品なので、知っている方も多いと思うがぜひもう1度読み返してほしい。子供の友情は大人になったら壊れてしまうのだと、苦しいくらい突きつけられる。私はバカなので、失ってから再読するまでは文学的価値がわからなかった。あなたには、友人を失う前に読んで欲しい。

 

 

ワイルド・スワン(上) (講談社文庫)

ワイルド・スワン(上) (講談社文庫)

 

 上・中・下巻とあるけれど、わかりやすく書かれていて流れるように読めてしまう。15歳で将軍の妾になった祖母、共産主義に目覚め子供を流産してでも進軍する母、そして毛沢東は父よりも、母よりも偉大だと教わる著者。わずか数十年で目まぐるしく変化した中国の歴史へ巻き込まれながらも、家族愛を捨てずにたくましく生き延びた人生が描かれている。

 

動物農場―おとぎばなし (岩波文庫)

動物農場―おとぎばなし (岩波文庫)

 

 同じ共産主義の話でも、こちらは"おとぎ話"。人間から住処を奪い取った動物たちは、最初は平等に食べ物を分かち合っていたはずだが、一部の動物が怪しい行動をとり始めて……。「なぜ共産主義はうまくいかないの?」と思ったら、まず読みたい短編。

 

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

 

最近ドラマ化して有名になったので、ぜひお手に取っていただけたら嬉しい。人には人生を自分の力で選び取る権利がある……本当に?  一見個性と自由を尊重しているはずの教育は、それがない社会でなんの意味があるのか。

 

読者を選ぶ変わり種

ここからは、個人的にはおすすめだけれども少し読む人を選ぶ作品を列挙したい。

 

銀河ヒッチハイク・ガイド (河出文庫)

銀河ヒッチハイク・ガイド (河出文庫)

 

 最高のナンセンス作品。ある日、自宅がブルドーザーで破壊されていた主人公。抗議しているところ「そんな場合じゃない」と声をかけられる。なんと地球は宇宙バイパスの建築により爆破される運命だったのだ。読書開始15分でいきなり地球が無くなっても耐えられる人だけ読んで欲しい傑作。昔、ケンブリッジ英検のリスニングテストでこの文章が出てきて笑いをこらえるのに必死だった。

 

ロリータ (新潮文庫)

ロリータ (新潮文庫)

 

ロリコンの気持ちとはなにか。愛とは燃える炎と信じられる者だけが読み進められる最高傑作。ストーリーはあまりにも切ない。

 

O嬢の物語 (河出文庫)

O嬢の物語 (河出文庫)

 

 SMとは、従属とは、献身とは? あるパリの館へ恋人に連れてこられたO。そこでは男たちが性奴隷を作るための教育を施していた。Oも恋人への愛からそれを受け入れる。性的なシーンはあまりに上品で、穢れを感じさせない。著者の性欲すら感じさせない。マゾッホやサドのような「それって結局自分のズリネタで書いたんでしょ?」文学とは大違いである。

 

エロティシズム (ちくま学芸文庫)

エロティシズム (ちくま学芸文庫)

 

エロティシズムとは、生命力そのもの。人は自分の中にある強いエネルギーがあふれ出るのを恐れ、理性やルールという言葉で禁止する。しかし禁止されるからこそ渇望は燃え上がり、性や死といったタブーを犯す形でこの世にあらわれる。

 

おわりに

最後に変わったジャンルの本が続いて神妙な顔になった人もいるだろう、だが文学は時代ごとのタブーを受容することで発展してきた。何も考えず読める本は、人生を変えてくれない。真に強いアイディアは、人を不安にさせるものだから。

自分の心が侵害されるような本を読もう。それはきっとあなたに新しい感覚を呼び覚まし、人生を変えてくれるかもしれない。

 

実用書だが、最後に手前味噌を失礼。自分に自信を持てない人が、どうやって人工的に自分を好きになることができるかを記した1冊。

恋愛障害 どうして「普通」に愛されないのか? (光文社新書)

恋愛障害 どうして「普通」に愛されないのか? (光文社新書)