米すら自力で炊けないメシマズが1年で「料理上手」と呼ばれるまでに試したこと
約1年前まで料理が死ぬほど下手でした。言い訳をさせてください。親の代からです。ネット用語で料理が殺人的に下手な人を「メシマズ」と呼びますが、かつての自分を振り返るとこれほどピッタリな称号はあるまいよ、と思います。
当時やらかした失敗はこの通り。
- 米を炊こうと炊飯器を買うも「米をとぐ」という動詞が何を意味するか分からず断念する。そのまま炊飯器は使われず化石となる
- ほうれん草を「ゆがく」という言葉がどれくらい湯に浸すことを指すのか分からず5分放置して、ドロドロほうれん草を完成させる
- パスタを茹でるとき、塩をひとつまみゆで汁に入れるとよいと聞きこぶしの「ひとつかみ」を放り込んで惨劇を起こす
思い出すだけで胸が痛いです。
学生時代からもっぱら外食とコンビニご飯で生活し、新卒になって一人暮らしをしたものの自炊は不可能と悟りました。その後は料理上手な友達を家へ引っ張り込んでルームシェア、あまつさえ弁当まで作ってもらっていました。
当時、気分がノッたので作ったチヂミがこちら(閲覧注意)。
形になってない。あとすごくマズかったです。
これではいかん、と自分の料理を恥じたことは何度もあります。レシピ本を何度買ったか知れません。しかしそこには「銀杏切り」「適量」「きつね色」など、すでに料理を経験した人にしか分からないであろう専門用語がビッチリ並んでおり、3Pでギブアップ。
以来、私に料理は無理と思っていたのですが、同じく親の料理が下手であるにも関わらず素晴らしい料理上手さんからコツを教わり、なんとかお世辞でも「料理上手」と言ってもらえる程度にはなりました。そのコツをここへ記します。
この記事は普通に料理できる人の役には立ちません。マイナスからのスタートを切った人間が、いかに普通の料理ができるようになるか、ただそれだけの記録です。
高い食材から使う
料理が下手な人は、外食より高い金額を自炊へ投資して初めてまともな料理が作れます。主婦が余りものでぱぱっと作る「安ウマ」は極めて高度な技術です。特に料理を全くしたことのない人の場合、初期投資がハンパなくかかりますがぐっと堪えてそろえてください。
同じ「鶏肉を焼く」という工程であっても、肝心の肉が100gあたり138円か278円なのかで味が信じられないほど変わります。ここまで金をかければ誰だって美味くできるだろう、と言われるくらいの材料からスタートせねばなりません。料理に慣れてきて初めて「ここは節約できるな」というポイントが見えてくるのです。
ではいい材料はどこで仕入れるか。簡単なのは「街の富裕層が通うスーパー」を見つけることです。極端な話、松屋銀座でもいいです。都内でリアルな線を狙うならピーコックやプレッセ、紀ノ國屋でしょうか。地方にお住まいの方は楽天をご活用ください。
食材の質にこだわると最終的にはいい肉屋から直接卸すといった話になりますが、そこまで行くと「普通に料理できる人」というより料理マニアの道へ足を踏み外すのでここではオススメしません。
初心者向けレシピを買う
レシピ本は種類豊富です。そして「初心者向け」と書いてある本のほとんどが役に立ちません。執筆者に料理研究家が多いせいでしょうか、私ほど料理ができない人間がいることを想像すらできていないのではと推察します。私が目の前で料理して、下手な人間の手本を見せてやりたい。
たとえば、このレシピ。
大人気☆揚げないチキン南蛮 by けいちょん*megu [クックパッド]
最近私も作って美味しかったのですが、初心者の頃に読んだとしたら「玉ねぎは水にさらす……水にさらすってどういうこと? 水に漬けるのかな? 何分くらい?」となったでしょうし、「じっくり狐色になるまで揚げ焼き」って、きつね色ってどの色? 揚げて焼くってどういうこと? と火の止めどころを間違えて焦がしたと思います。
ここでは、そんな基本を知らない当時の私でも頑張れた2冊をお伝えします。
「ささみって、この肉の部位をを指す名称だったのか。でもって、筋を取るってこういう図の通りに行うことか」
この本で私が学んだ一番大きなことです。何よりこのレシピで調理すると、下手な店よりまともな味のものができる。これは外食依存に陥りやすい料理下手にとって大きな自炊のモチベーションとなります。
こちらも究極の初心者向け。フライパンのサイズが違うと熱伝導が変わるので失敗するといった、料理初心者なら「そんな理由で失敗してたのか!」と感心する背景がしっかり書かれていて助かります。
なお、レシピに対して従順に作りましょう。レシピから逸脱していいのは、そのレシピを作り慣れた上で、アレンジした料理を自分1人で完食できるときだけです。
失敗を恐れず味見する
塩を振るときに少なすぎて味がしない。ダシを取ったはずなのに水の味。料理が下手な人ほど分量に対して臆病になります。そんな私を見ていた親戚のシェフに「塩が多いことくらい恐れるな!」と教わりました。
濃すぎてもスープを足すことはできる、サイドメニューで薄味のものを出してバランスを取ることもできる。失敗を恐れて何もいれないご飯こそ真にマズイ。それから何回か塩っぽい料理を作ったものの、今では「適量」が何となく分かるようになってきました。
なお、ここで肝心なのは味見を欠かさないことです。くれぐれも勇気を出した味付けでそのまま人へ出すことはないようにしましょう。
食事をしながら「何をすればもっと美味しくなるか」考える
外食で何かを口に入れたとき。家でお惣菜を買ってきたとき。確かに美味しいけれど、100点満点なことは少ないように思えます。そんな時に「自分だったら何を足せば100点を作れるか」を想像することで、自然と味付けへの理解が深まります。個人的には、これが料理を上達させる上で一番大切なポイントだと思っています。
この考え方をするまでの私は、料理を口にしても美味しい・美味しくないの2択でしか判断していませんでした。しかし「この料理をさらに美味しくするために何ができるか」を考えるようになると、いざ自炊したときも「何となく美味しくないなあ……これは前の外食と同じパターンだから、塩が足りてないな」と改善できるようになったのです。
この思考が身につくと、料理下手なうちは決して挑めない「レシピのアレンジ」へ挑めるようになります。自分が何かを足すことでどう味が変化するかさえ理解していれば、アレンジも怖くはなくなるのです。
人へ料理を出すときは家で何度も作ったものだけにする
いつもは家庭料理を作っている方でも、いざホームパーティとなるとおもてなし料理を考えたくなるもの。しかし人さまへ出す料理は絶対に何度も自分が作り、成功体験を積んだものだけにしましょう。
何度も作った料理はかかる時間も性格に予測できる上、失敗してもリカバリの方法が思いつけます。もしホームパーティが控えているなら、おもてなし料理を自分でいくつか試しておきましょう。
おわりに
ここまで、料理がとことん下手だった私がどうにか人並みに料理ができるまで、つまり人様へ料理を出してお世辞でも「上手だね」と言ってもらえるまでの軌跡を記したものです。私と同じ前提を抱えている人がいるなら、少しでもそのハンデが和らぎますよう祈っています。
料理がここまで下手な人間が生まれた過程についてはこちら。
現在の私が料理で一番参考にしているサイトです。ここの指示に従ってトンカツ作ったら下手な定食屋より美味しかった。もうこのサイトを見る前には戻れません。