トイアンナのぐだぐだ

まじめにふまじめ

【告知】電子書籍『トイアンナの素顔 大人気ブロガーが教える“愛とキャリア”のお話』本日発売のお知らせ

こんにちは、トイアンナです。

「ライトな恋愛に関する本を、電子書籍で出せますか」とKADOKAWA様におっしゃられて「び、ビッチの生態をまとめた同人誌ならありますが」とおずおず1冊目を出してから数ヶ月。お陰様で売れ行き好調とのことで、2冊目を上梓いたします。

 

今回の本『トイアンナの素顔 大人気ブロガーが教える“愛とキャリア”のお話』は、本ブログのまとめ+この本限定オリジナル原稿を加えた総集編です。これで地球が滅びても「絶対に落ちない」と乙武さんの謝罪文でも有名になったAmazon様のサーバーに乗りました! やったね!

 

さてさて本日発売スタートです。明日から社会人になるみなさん、せっかくなら入社前日からキャリアの絶望でも味わって憂鬱になりませんか?

 

 

 なお、こちらのページからサンプル記事をご覧いただけます。

eromance.jp

 

これからもKADOKAWA様とは「携帯で読めるポップでヘビーなお話」を続けてゆきたいと思いますので、何卒宜しくお願いいたします。

 

なお、1冊目こと『ビッチな私の見分け方』はこちらから。同人誌から2万字以上加筆した気合の入った「笑いながら読める本」を目指したものです。

 

いつもこんなノリで読者の皆さまにはお目汚し申し訳ありませんが、 引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

フリーライターとして初めての青色申告で「freee」を使ったら全作業が3時間で終わった(PR)

初めての青色申告がわずか3時間で終わった話をします。

私がフリーランスになったのは昨年末。今まで親類の確定申告を手伝ったことはあっても「自営業」として青色申告をしたのは初めて。「経費になるものを買ったら、領収書貰えばいいんでしょ?」くらいの素人知識しかなかった。

 

都内某所、私は同じく青色申告1年生の友人と集まった。既に某大手・確定申告ソフトはインストール済み。

私「ところで、この記入欄にある勘定科目って何?」

友「さぁ……」

死んだ。

 

某大手確定申告ソフトのオマケとして見られる確定申告ハウツー映像を見る。しかし「預り金、仮受金、固定資産売却益と謎用語だらけ。「おっしゃビデオ見た!メモ取った!わからん!」という事態。とどのつまりに、確定申告期間の真っ只中なのにサーバーメンテナンスに入られデータが飛んだ。

 

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私は生まれて初めて「殺意」という言葉の意味を知った。

 

freee(フリー)というソフトがあることを口コミで知る

実はその前日、私はfreee(フリー)という「超・楽に確定申告ができるソフトがあることを同業のライターさんから教わっていた。

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当時は「あ、私すでに別のソフト入れちゃってるんで~」とお断りしたが、freeeを使うと「めちゃくちゃ楽」に確定申告できるらしい。よし、freeeを入れよう。

今から新しいソフトを導入して、間に合うのか全く分からない。だが、今使っているソフトはメンテナンス画面からピクリとも動かない。決断の時だった。

 

簡単すぎて怖い! 青色申告レボリューション

自営業者はちょっと簡単な「白色申告」とガッツリ帳簿をつける「青色申告」を選ぶことができる。青色申告にすることで65万円の控除を得られるのが最大のメリットだ。すっごく面倒らしいけど……。

 

青息吐息でfreeeの画面にログインすると、力強い「確定申告をはじめましょう!」の文字と、「あと15日」という無慈悲なタイムリミットが。だだだいじょうぶ、まだあと15日あるもん……。 

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freeeがすごかったのはここから

まずは開業日や屋号などの基本情報をサクッと入力。

次にお賃金を1件ずつ入力していく。支出や収入の種類を表す「勘定科目」をクリックした瞬間、項目を選ぶだけで入力できるので専門用語の暗記は一切いらない。 全部に説明書きがついてるから、素人でもどれを選べばいいか瞬時にわかるのがいい。

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同じように、支出(経費で落としたもの)も記録していく。「経費なのは分かってるけど、どの項目かな」なんて悩む必要もない。

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ここでライターならではの問題が。ライターは原稿料を振り込まれる際に「源泉徴収」を差し引いて振り込まれることが多い。要するに所得税なのだが、どの項目を選ぶと差し引き分を記載できるのか……なんとfreeeは差し引き額の説明もポップアップで教えてくれる

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ここまで簡単だと逆に怖い。頭を一切使わずに作業が進んでいく……。

 

支出と収入の記録が終わったら、あとは簡単な○×式の質問に答えていくだけ。

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会社で勤めていた人は、上の画像のような源泉徴収票を貰えたはずだ。実際の源泉徴収票を見ながら、青い四角に囲まれている数字を入力。図でどこを見ればいいか書いてあると、パニックに陥ったり数字のミスがなくなるので非常に助かる……。

 

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こちらが入力後の画面。会社名・給与・源泉徴収額がリストアップされる。こうして○と×を埋めていくだけで終了。

 

えっ、確定申告の書類完成まで2時間半しかかかってないんだが……!?(汗)青色申告って、難しいんじゃなかったの? 絶対ウソでしょ!? 何か抜け漏れあるでしょ? ミス、無かった。全自動計算すぎて、俺も何が起こったのかさっぱりわからなかったが、とにかく書類は完成していた。

 

次のページで、確定申告&青色申告のプレビュー画面と払いすぎた所得税がいくら戻ってくるかが記される。

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約3時間を確定申告に費やして、2.3万円戻ってくることになった。時給換算すると7500円ちょっと。なんと「義務だからとイヤイヤやる作業」のはずだった確定申告が、ちょっとした時給のいいバイトになってしまった……!

ここでプレビュー画面を確認して、PDFで出力できる。PDFを印刷・郵送したら本当の本当に終わりだ。早っ!

 

迅速な対応はまだまだ続く

まさかの青色申告・確定申告がわずか3時間で終わった喜びをさっそくツイートした。

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そのわずか数分後、別の友人から連絡が。

「お客様の声として、freee社内でお前のツイートが共有されているぞw」

 

なんとこの神ソフトfreee、友人が勤務していた。就職先は聞いていたが「ふーん、IT系かぁ」と2秒で忘れた当時の自分を殴りたい。次の瞬間、私はこう返信していた。

「御社の告知記事を書かせてもらいたい。世のフリーランスのために」

こうして、この記事は生まれた。2/27に私の確定申告が終わり、なんと記事制作にご快諾いただけるまでわずか2日。読者にヤラセと疑われるレベルの迅速な決定スピード! まさかの実話です。

 

まだ確定申告に見ないフリをしているさまよえるフリーランス1年目の皆さま、ぜひ私と同じように3時間で確定申告を終わらせてください。

 

今回ご紹介したfreeeのお申し込みはこちらから。

www.freee.co.jp


 

なお、フリーランス界ではfreeeがすでに超有名だったらしく、こんな本まで出ていた。大手だからと何も考えずにソフトを選んでしまい、済みませんでした! 

ひと月3分、ムダ0確定申告 ――税理士が教えたくなかった最強節税術!   【freee対応】

ひと月3分、ムダ0確定申告 ――税理士が教えたくなかった最強節税術! 【freee対応】

 

 

※ 今回私から半ば無理矢理な形でfreeeさんへ「良さを伝えたいんです!」と広告記事を制作するご許可をいただきましたが、通常ブログでの広告記事依頼は承っておりません。何卒ご容赦ください。

なぜ女と働くと「わがままで、めんどくさい生き物で、意味不明」と感じてしまうのか?

家事代行サービス企業の役員・K氏が書いた「女性に読んでほしくない女性のマネジメントについて」という記事が炎上した。すでに元記事は削除されてしまったので要約すると、女とはこういう生き物らしい。

 

  1. 口は出すが責任は負いたくない。わがまま
  2. 「何がなんでも1億円目指すぞ!」といった数字だけでやる気を出さない。めんどくさい
  3. 問題を解決できなくても、辛さに共感してくれればいいらしい。意味不明

 

個人的には「女性顧客を多く抱える企業の役員が女をバッシングしたら、中身が何であれ悪手でしょう」という一言に尽きるが、1点だけ同意したのはK氏が女性を「わがまま、めんどくさい、意味不明」と自分が理解できないものとして認識していた部分だ。

 

K氏が本当に除外したのは「俺と違う奴全員」

まずはこのK氏が描いた女性像の例を挙げよう。

男性は「何がなんでも1億円目指すぞ!」と言ったら頑張る人がいますが、女性は「数字を追うというだけで毎日燃えられる意味がわからない。」と思っています。

「何のためにこの仕事に取り組むべきか?どのような意味があるのか?」ということの説明が必要です。

この引用を見て「俺、男だけど別に数字を見せられても燃えないぞ……」と思った方も多いに違いない。

K氏のように高い目標数値を見せられただけで「おっしゃ!この仕事やったるで!」と思っている人間は社会人の何割だろうか。

家庭第一で子供を幼稚園に迎えに行くのが何よりも楽しみな人もいれば、ネットゲームに課金するため仕方なく現実世界で稼いでいる人もいるだろう。漫画『新社会人よ、窓際を目指せ 』のようにしょっぱなから左遷を願う人もいる。

 

こういう人たちはK氏にとっては全員理解できない「めんどくさい生き物」となってしまう。K氏は女性は「高い目標値を見せられても燃えない人」だと批判したが、その実「俺と違う感覚で仕事をしている奴」を「めんどくさい生き物」として理解の外に置いたのだ。

 

多様性はめんどくさいもの

であるにもかかわらず私がK氏も正しいなと思うのは「自分と違う感覚を持つ人って、理解するの難しいよね」と認めているところだ。

企業には自然と同質の人間が集まる。同じようなメンタリティを持った人間同士で仕事をすると事が早い。仕事の動機付けもワンパターンでいいし、意思決定も早そうだ。

こういった背景から、日本ではモノカルチャーを享受する企業も多い。総合商社は今でも体育会系・高学歴男子を求める傾向にある。メガバンクは出身校はおろか、出身部活動で出世が決まることも。多様性?何それ美味しいの?と思いたいのが伝統的日本企業の実情だろう。 

 

だがすでに政府は「一億総活躍社会」を標榜してしまった。そこで急ごしらえの「多様性」、特に女性雇用が求められるようになった。総合職の女性はいりません! と宣言する勇気がある企業はいまや少ないだろうし、もっと進んだ企業では多様な国籍・宗教・性的志向の人材を意欲的に採用している。

 

だが本来、多様性には手間もかかる。たとえば、こういった努力だ。

  • 相手のタブーを知り、言わないようにする
  • 自分が理解できない行動を取っても腹を立てず「そういうものだ」と受け止める
  • 丁寧に仕事を説明し、相手の立場に立って動機付けする

そしてK氏の発言は多様性ブームに対する「でもそれって、めんどくさいじゃん!」という正当なアンチテーゼだったと思われる。

K氏の所属するメガベンチャーですら牛耳っているのは「30代、ジム通いが趣味な体育会系志向の男性」だったりする。

これまでの人生で「マッチョッチョな男社会で同質化して生きるのってキモチイイ」と味わわせられてきたのにいきなり異物の「女性」とやらをマネジメントしろと言われた。ふざけるな! という急激な多様化に対する悲鳴とも言えるだろう。

 

「めんどくささ」を減らすのがマネジメントの責務

だが私はK氏を援護しない。なぜならその「めんどくささ」を減らすことがマネジメントの仕事だからだ。

 

K氏が現場の平社員ならまだ分からないでもない。就職後初めて女性総合職を育成する環境に置かれ「何で俺が女のマネジメントなんかやらなきゃいけないんですか!」と上司に泣きつくことはあるだろう。

だがそこで「めんどくささ」を制度や決め細やかな指導で減らしていく会社設計こそ、役員レベルが取るべき責務ではなかったか。

 

たとえばK氏は「面談で女性を泣かしてしまった回数は50回以上」と同記事で書いていた。50回も人を泣かせる業務には改善点があるはずだ。

もしかすると面談システムが多様化した企業にそぐわないスタイルになっていなかったか。相手に気を配る話し方を研修で新卒時から教えれば双方のストレスを軽減できないか。パワハラになる前に防ぐ制度を作れないか?

 

そういった制度を用意して、多様性に伴う「めんどくささ」を減らすことがK氏の責務であったはずであり「多様化とか言ってるけど、女ってわがままで、めんどくさい生き物で、意味不明。でも諦めればいいとわかった。受け容れるしかない」と書いてしまうのは現場社員の愚痴でしかない。マネジメントの仕事ではない。

 

多様化のスイッチはすでに押された。これから同様に「なんで女ってこうなんだ」「なんで○○人って」「なんでXXな奴は」と頭を抱える機会は増えていくだろう。あとはどうやってお互い幸せになれるか、制度を一緒に考えようじゃないか。

今日はそんな話をしたかった。

 

その「恋愛ハウツー本」本当にあなた向け?本屋で悩む前に知りたい分類と基本の12冊レビュー

恋愛ハウツー本を、人生でほとんど読んでこなかった。なんせ店頭に並びすぎなのである。まず何を選んだらいいか分からん。

 

しかし私も気付けば恋愛コラムを書いていた。他の作家さんはすなわち「業界の先輩」だ。そこでこの1ヶ月、集中的に恋愛コラムを読んで、読んで、読みまくった。本稿はそんな私がおぼろげに理解した、ヒットメーカーたちの恋愛コラム4分類である。本屋で悩む前に参考にでもなれば幸い。

今回便宜上リンクをAmazonへ貼っているが、恋愛本は相性で決まる側面が強いのでネットよりぜひ店頭でパラ読みしてから買ってほしい。私の勧める本が、あなたにとってはゴミかもしれないし、その逆もしかり。それが恋愛本の面白さである。

 

恋愛コラム「動機」で図る4分類

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「恋愛ハウツー本をなぜ書くのか?」という著者の動機で考えると、この4ジャンルに分類される。なお「恋愛について書く動機が分からない著者」枠でDJあおいさん、Kaori Taoさんが挙げられるが今回は割愛しつつ、各項目の説明をしたい。

A.恋愛市場を分析する冷静な「解説者」

昨今の若者の恋愛はどうなっているのか。恋愛のいまを分析し、解説するのがこのジャンル。作者は恋愛自体に興味があるというよりも、少子高齢化や未婚化・非婚化の社会的現象に興味を持つ傾向にある。

 

分析が主体なので、読んでも愛される女子や結婚できる人間にはならない。読者もそんなもの、求めていないはず。婚活って結局何なの? 今の20代、30代ってどうなっちゃってるの? と全体像を捉えたいならオススメ。

 

2008年発売だが、いま読んでも現状が全く変わっておらず恐ろしいのがこちら。質的調査が中心になりがちな婚活の現状について、データで切り込んだ野心作。

「婚活」時代 (ディスカヴァー携書)

「婚活」時代 (ディスカヴァー携書)

 

 

 「結婚って、コスパ悪いし」と言われる現状を調べていった話題作。草食系男子という伝説の言葉を作った魔術師、牛窪恵さんによる最新刊。この世代が書いた本はどう分析しても結論が「若者よ、もっと恋愛しろよ!」になってしまう傾向にあるので、結論以外のデータに価値があると思う。「結婚四季報」的存在。

 

 質的調査で最近面白かったのがこちら。結婚したいって女子は言うけど、本当はそうでもないんでしょ?という指摘は私も賛同しかないので楽しく読めた。データ分析したい人には物足りないらしいけど、アンケート調査って莫大な予算かかりますからねぇ。

本当は結婚したくないのだ症候群

本当は結婚したくないのだ症候群

 

 

B.私もこうだったのよと人生を指南する「先輩」

恋愛コラムを想像した場合、大半の人はここを想像すると思う。著者の大半が女性で「私の失敗から学びなさい!」と教えてくれる先輩たちの本だ。タイトルの「こういう女性向け」部分に共感できるなら買ったときバイブルになること請け合いだが、逆に真逆の人生を歩んでいたりすると1P目から共感できないので注意。まあ、タイトル刺さらなかったら買わないと思うので、誤爆は少ないと思う。

 

オクテな女性を狙い撃ち!アルテイシアさんの本。私は肉食系なので「なるほどオクテ女子ってこんなこと考えるのか」と参考になった。最近「VERY妻になりたかった母の死から学んだこと 」と過去から伝わる「これ以上、後についてくる女性を苦しめてなるものか!」という決意が胸を打つ。

 

女性のためのキャリア支援から、婚活支援まで幅広く対応するまさに「人生の先輩」こと川崎貴子さんの最新作。結婚は戦略であり、自分がリーダーシップを取って進むのだと教えてくれる

結婚したい女子のための ハンティング・レッスン

結婚したい女子のための ハンティング・レッスン

 

 

 なぜかクズ男を捕まえてしまう女性のために書かれたロングセラー。男性の著者でありながら女性への優しい目線はユニセックスな「先輩」である。私はメンヘラ女子を見つけるたびに「まずはこれを読め」と口に突っ込んでいる。

 

 未婚のプロことジェーン・スーさんが「笑いながら自分に向き合えるように」と優しい目線で方ってくれるアラフォー向け恋愛指南書。爆笑しながら最後まで読めるのに、本をパタリと閉じてから「婚活しよ……」と思わせる筆致はあまりに魅力的。

私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな (一般書)

私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな (一般書)

 

 

C.ホステス・愛人経験からノウハウを語る「プロ女」

かつて銀座のNo.1 ホステスだった、年収1億円の男性に囲われていました……そんな経験から語られる恋愛ハウツー。長い関係を築くことよりも「男をどうやって落とすか」に注力した作品が多い。なお、なぜかスピリチュアル系との親和性も高い。

 

このジャンルで正規の大ヒットを飛ばしたのが蝶々さん。「蝶々さんだから買う!」という固定ファンも多く、恋愛系コラムで大成功を収めた。他の作家ではマネできないふわふわと男性を癒す話し方や盛り上げ方は傾聴に値する。特定の男を愛する方法ではなく、全方位モテを狙うならこのジャンルの本がいい。

 

大ヒットしている蝶々さんの本でも、最も売れている著作のひとつ。目次からして「電磁波塔と、土地のエネルギー」「誰でもわかる、宇宙の秩序」など読者を選ぶ内容が目白押しなのだが、読者の心をがっつりさらっているから無問題。恋愛本は、受けたら勝ちなのだ。

蝶々の男子にはナイショだよ。PINK

蝶々の男子にはナイショだよ。PINK

 

 

 こちらも銀座の人気ホステスさんによる恋愛ハウツー。昼は心理カウンセラーをしているだけあって、傾聴力や深堀りの手法はビジネスでも役に立ちそう……というか、もはや恋愛ではなく交渉力で勝負したい総合商社社員や広告代理店パーソンが読むべき本。 

銀座No.1ホステスの心をつかむ話し方 (だいわ文庫)

銀座No.1ホステスの心をつかむ話し方 (だいわ文庫)

 

 

D.男性目線で男心を解説する「お兄さん」

女性が語る「男心って、こんなものよ」には実際の男性と乖離がある。なら、男性が書いた恋愛指南なら、男心がつかめるんじゃないか? そんな目線で書かれているのがこちら。

9割は「昔は遊んでいたお兄さんが、恋愛を教えてあげる」スタンスなので、全ての著者を鵜呑みにすると遊び人に都合のいい女となってしまうリスクもある。その一方で女性では決して理解できない男性目線でのセックスの価値など、学ぶべきところも多いので劇薬としてたまに摂取したい。 

 

男性が語る恋愛論で最も有名な水野敬也さんの本。元々はLOVE理論という男性向けのハウツーを連載しており、その際に女性からも相談が集まったことから執筆されている。読んでいて笑いが止まらないのでもはや恋愛していない人・婚活なんかどうでもいい人へも超オススメ。

スパルタ婚活塾

スパルタ婚活塾

 

 

 このジャンルに触れるならば語らざるを得ない究極の恋愛ハウツー本、藤沢数希氏のナンパ術「恋愛工学」を網羅した小説風の著作。女性を狩りの対象とみなし、ナンパに慣れていくことで最高の彼女を手に入れろと説く。強烈な信者と強烈なアンチを生み出した問題作として一躍有名になった。参考にこそできないものの、激辛ラーメンみたいなクセになる味わいがある。

ぼくは愛を証明しようと思う。

ぼくは愛を証明しようと思う。

 

 

 なんつータイトルや。ファーレンハイトさんこと、桐谷ヨウさんにご献本でいただいたので掲載。近日発売予定の、女性経験を総括して語る全方位女性向けの恋愛ハウツー本。

仕事ができて、小金もある。でも、恋愛だけは土俵にすら上がれてないんだ、私は。

仕事ができて、小金もある。でも、恋愛だけは土俵にすら上がれてないんだ、私は。

 

 

 終わりに、そして始まりに

ここまで私がガッと読んでわかったつもりになった恋愛ハウツー本のジャンルと、実際に読んだ12冊を掲載してきた。

恋愛ハウツー本市場を知るためにざっと読んだので、好き嫌いをなるべく排除して読んだつもりだ。しかし冒頭の言葉を繰り返すとおり相性が強く関係するジャンルなので「まえがき」をパラパラ読んでからレジに並ぶくらいが失敗しなくてちょうどいい。ジャケ買い・レビュー買い厳禁! 恋愛と同じくモテている本ではなく、あなたの運命の本に出会ってくれれば嬉しいと思う。

 

川崎貴子さんの本は、以前レビューを書かせていただきました

toianna.hatenablog.com

「総合商社に優秀な人は来ない時代がくる」 総合商社の中の人が語る、就活への警鐘(後編)

天下の外資系金融を蹴って総合商社を選んだ学生の記事「ゴールドマン・サックスを選ぶ理由が、僕には見当たらなかった」をきっかけに、総合商社の中の人とお話させていただくことになった。記事前編はこちら

 

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資源ビジネスは「中国と原油」に足元をすくわれる

商社は長らく資源ビジネスで利益をあげてきた。そして原油価格の下落についてはニュースでわれわれも知るところだ。だからこそ商社は「トレードから投資へ」と語っていたのではなかったか。

 

総合商社の中の人:総合商社は物流商売から、投資事業へ舵を切ったと言われますが、投資には大きく分けて「権益投資」と「事業投資」があります。

全社の権益投資でいえばここ10年の総合商社は軒並み、資源とエネルギーで儲かっていました。一部の総合商社にとって資源・エネルギービジネスは「すごく昔、安く仕込んだ権益投資が資源高で潤った」結果。中国・インドの成長と原油高に支えられてきました。

しかし支えのうち2つ、中国と原油がいまはダメになってます。資源ブームになってから投資した案件は採算が取りづらく、資源安になればすぐさま減損リスクを抱えます。

 

「高値掴み」に苦しむ商社の事業投資

総合商社の中の人:一方、事業投資は総合商社にとってさらに難易度が高い。権益投資は資源価格が上がればすぐに利益を出せますが、事業投資は投資後の「経営力」が問われるからです。特に資源・エネルギー以外の非資源分野、特にコンシューマー向けのビジネスはその傾向が強くなります。

 

しかも近年の総合商社は、資源・エネルギー高によって利益の水準が三ケタ億、四ケタ億になった。そのせいで、資源・エネルギー以外の非資源分野に求める利益水準へのハードルも上がってしまっています。本来、事業は「小さく生んで大きく育てる」のが理想。

ですが小さい企業のポートフォリオを多数持っても、管理コストが上がるしボラティリティがあるので、いまの総合商社が投資したがるのは安定的に利益が出る 企業だけ。

 

「世界的なカネ余り」の状況で、確実・安定的に儲かる投資なんて総合商社の機能が認められない限り、なかなか回ってこない。下手をすれば、功を焦って高値掴みに陥るのです。投資ファンドと違って、総合商社は投資先の株式を長期保有すると思われていますが、総合商社だからって投資先と一蓮托生なんてことはなく、利益を出せない出資先企業はどんどん売っています。

 

もともと、総合商社は凡庸な学生が行くもの

 そういった実態は、学生に知らされていないから総合商社を受けているのだろうか、それとも学生は覚悟を決めて「資源やエネルギーの価格がこれから底をついても、冬の時代を共に生き抜こう」と考えて入社しているのか?


総合商社の中の人:原油とエネルギー価格は少なくとも5年は価格が戻らないと言われています。中国の経済も厳しい。

そして総合商社は基本的に最初の配属先を選べないですし、極論すれば運で担当業務が決まる。今の社員は、会社に残れれば逃げ切れると考えている人も多いです。しかし、60歳で定年退職して65歳で年金を貰うまで、或いは70歳まで満足いくペイで働けるスキルも身につかないのが現状。そういったことを少し調べれば判るのに、調べていない時点で総合商社に来ているのは優秀な学生ではないでしょう。

 

就活をする時点で、最優秀層とはいえない

総合商社の中の人:就活は結局、大学生までにキャリアを決められなかった人間の「敗者復活戦」です。極端ですけどプロ野球選手、ピアニストになれる人たちは小学生からやること決めてるわけです。就活って生まれた瞬間から始まってるんだぞと。

ある程度凡庸な人だから、大学生になって初めて自らのキャリアを考えざるをえなくなり、就活をするわけです。折に触れて自分のキャリアを考える時間があったはずなのに、大学3年生や就活を間近に控えてから急に焦って「就職先」だけを考えて、OB/OG訪問をしても遅いんですよ。しかも、大体の場合、就活生にとってOB/OG訪問は就活をやっている「意識高い」自分に酔っているだけなんです。

 

SNSに書かれるのが怖い」と本当のことを話せない社員に時間を割いて会うくらいなら、ネットや書籍で調べられることはたくさんあります。限られたランチタイムで初対面の社会人に「やりがいは?」なんて聴くのは失礼ですし、そんなことを訊いて何の役に立つのか? 質問のための質問、OB訪問のためのOB訪問になってしまっている。


ただ、自らのキャリアを考えられない原因の一旦は親にもあります。この10年、就活生の親はバブル世代。就職に苦労してないですから、自分たちの子供がこれから苦労すると判ってないんですね。しかも、当時の価値観を引きずって「大企業なら安泰」と考えています。

いまの就活生は親から「会社に何かあっても独立・転職できるスキルを身につけろ」と教えてもらえない、不幸な環境に育っている。仮に子供がベンチャーへ行きたいというと「親ブロック」まですることもある。


――ではなぜ「総合商社の中の人」の世代は辞めていないんですか?

総合商社の中の人:僕みたいな、アラフォーが就活した時代はすでに就職氷河期でした。僕の受けた時代、総合商社は大学時代の成績も重視しないと言われていて、かつ難しい筆記試験もありませんでした。それで易きに流れて入社試験を受けた結果、たまたま、ある一社から内定を頂いて入社したんです。

僕自身は商売人になりたかったわけでもないし、商社マンに憧れていたわけでもない。入社前から体質的に合わないだろうなあと思ったら、入社初日の歓迎会で二次会のカラオケに流れる前に先輩から「ナンパしてこい」と言われて。うわあ、これはマジで合わねえなと。

 

世間の印象通り、商社マンは遊びが派手でした。先輩たちの武勇伝を聞くと、外車を買ったり、遊興費で使ったりして入社数年で数百万円の借金を背負うのが「当たり前」。僕も周りに流されて激務の憂さを晴らしているうちに数百万の借金を背負っていました。嫌だと思っていたくせに染まっていたんですね。だから、恥ずかしながら辞めるに辞められなかったんです。若い人には偉そうには言えないのですが、そうであればこそのアドバイスだと思ってくれれば。

――失礼ですけど、遊女が借金して足抜けできなくなるみたいな話ですね……。

独立できるスキルを身につける場所を考える

――では、今学生はどういった業界へ行くべきでしょう?

総合商社の中の人:業界に関わらず、自分で力をつけて、いざとなったら独立・転職できるスキル・経験が身に付くような場所がいいと思います。たとえばCyber Agentの藤田社長自身がそうだし、同社の若手みたいに、優秀でやる気がある社員は20代で経営を任せてもらえる機会もあるし、独立もできます。

かつてと違って、日本でもこれだけ起業の環境が整ってくれば、キャリアでの自己実現を考える時にもはや所属先が大企業である必要はない。


これからの時代、男女を問わずほとんどの人は70歳まで働くのだから、自身のキャリアを「積み上げ」で考えてほしいですね。世間が考える「いい会社」に運よく入れたところで、リストラ等で会社を放り出されてそれまでの経験やノウハウがリセットされてしまっては元の子もありません。

いまの就活生は70歳まで自分がキャリアを「積み上げられる」分野やスキル、経験は何か?という観点で、ファーストキャリアを選んでほしいし、そのために貴重な新卒カードを切るべきだと思います。

――そういう意味では私の経験した外資は確かに、専門性が身につく業務が多いように感じます。代わりに、名刺の渡し方なんて教えてくれませんが……笑

誤解のないように言いますが、私は採用してくれた会社にはとても感謝しています。社会人としての最低限のマナーやルールも教えてもらったし、やりがいのある仕事もさせてもらいました。総合商社ならでは経験もさせてもらったと思いますし、長く働いてきているので愛着もあります。

ですが、いまの学生さんに手放しで勧められる職場ではないということを知っておいて頂きたいのです。就活生で総合商社を志望される皆さんにおかれてはこの話を聴いてもなお、自分は総合商社に入って仕事をしたい、というのであれば、ぜひご一緒に、これからの苦境を乗り越えるにはどうしたらいいか、汗をかいていければと思っています。

 

――ありがとうございました。

大学時代、総合商社は「憧れ」だった。どこか自分は内定できないだろうと感じて結局本腰を入れて対策もしなかった。そのくせ、私も周囲が受けるからとエントリーする絵に描いたような「ミーハー就活生」だった。

総合商社へ行く学生が、あらかじめ上記のようなリスクを覚悟できているならいいだろう。だが、都合の悪い話を耳をふさぎたくなるものだ。どんな企業にも課題はある。大切なのは、課題を認識しているかだろう。彼のメッセージを少しでも多くの若者へ伝えるために、ここへ記録を残す。

 

 今回お話してくださった「総合商社の中の人」はこちら

twitter.com

 

前編はこちら

toianna.hatenablog.com

 

「総合商社に優秀な人は来ない時代がくる」 総合商社の中の人が語る、就活への警鐘(前編)

「総合商社の中の人」とお話した。きっかけは少し編集で関わった記事「ゴールドマン・サックスを選ぶ理由が、僕には見当たらなかった」がバズり、リアクションをいただいたこと。

就活では今、商社が圧倒的に強い。商社に内定した学生が他社へ行くなんて、まずないだろう。それに対し、総合商社の中の人が逆風とも言えるコメントを残した。ぜひその理由を伺いたい、とご連絡したところご快諾をいただけた。

 

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表面上のダイバーシティに苦しむ若手

 商社にダイバーシティ多様性)が無いことはOB・OG訪問をした当時、私でもわかった。「ゲイやレズビアン等への差別防止に何をされてますか?」「主夫を養いつつ海外転勤できますか?」といった質問へ向けられた「何だコイツ」という目線は忘れられない。

 

総合商社の中の人:総合商社に採用される人材といえば、学校別で言うと東大・早慶の体育会系男子が大多数でした。最近はダイバーシティの名の下に、内定者の半数近くは女性・non-Japaneseですし、非体育会系男子もかなり増えました。人事部の思惑とは裏腹に、若手を受け入れる各部署は彼らの働きやすさやキャリアを第一に考えているわけじゃない。結局体育会系の上司は「若手を使いづらいなあ」と思うし、入ってきた子はそのギャップに苦しむんですね。

 

企業が本当にダイバーシティを推進したいなら、採用時の門戸を拡大するだけでなく、入社した後、フェアな人事評価をすべきだと各部署へ徹底させないといけない。総合商社は就活生からの人気も高いだけに、会社側やそこにいる人間からすると、いまだに「会社に入れてやった」という感覚が強いのだと思います。

ダイバーシティの観点から多様なバックグラウンドを持った学生を採るのはいいことです。けど、その美名の下に採用された人の気持ちを考えたことあるんですか?と思うことがあります。このままでは、いやすでに優秀な人材が採用できなくなることは必至です。 

 

商社が「現場」でなくなった結果、若手が活躍できなくなった

一般に、総合商社は40年かけて育成するから、即戦力を目指す外資とは違うと言われている。だが「育成のイマ」は変化に晒されているようだった。

 

総合商社の中の人:就活生の皆さんからOB/OG訪問を受けると決まって「投資をやりたい」と仰います。しかし、入社して若くして投資事業に携われれば、キャリア形成上、ハッピーかといえば必ずしもそうとはいえない。

 

総合商社が手掛ける事業はかつて「物流商売」と言って、国内外で商品の売買を行い、手数料を得るビジネスがメインでした。個人商店的な業務が多く、若手でも一人にお客さんを任せられることが多かった。けれど、いまや業態へ権益投資や事業投資も追加されて、チームを組んでやる仕事が増えました。そうすると若手はヒエラルキー上、雑用が以前より多くなります。

 また、総合商社はグループ連結経営を推し進めています。その結果、ビジネスの現場が出資先の関係会社に移っている。巨額の投資利益と引き換えに、若いうちからビジネスを経験する現場を奪われてしまった。個人が自分の働きで稼いでいるという実感を得られにくくなっているんですね。まとめると、こういうことです。

 

  1. コンプライアンス意識の高まりによる書類作業が増えた
  2. 案件の金額増加に伴い「失敗」の額も大きくなったたため上層部に説明責任を果たす社内報告が増えた
  3. ビジネスの現場が出資先の関係会社へ移り、お客さんや社外の人間と向き合う時間よりも、上司への報告や社内向け書類の作成がメインになった。

 

企業としてコンプライアンス遵守は重要ですが、一方でそうした業務を通じて得られるのは社外で通用しないスキルばかりです。

 

後輩に教えるのは「損」という文化

総合商社の中の人総合商社の場合、少なくとも30歳、場合によっては30代後半まで「下積み」が続くんですが、たとえば女性で30歳まで下積みをして、結婚・出産して子供が生まれてから職場復帰しても、接待や長時間労働を前提とする業務には戻れない。

かといって、育児との両立を考えてバックオフィスへ移ったら、もはや一生「商社パーソンらしい」仕事はできない。そういう女性のキャリアも考えてない。だから優秀でやる気のあるキャリア志向の女性が辞める。

 

また、以前の総合商社では、年功序列で先輩は自分の地位を脅かされることがなかった。現在の人事評価では前後何年かの年次が同じ職群に入れられ、その中で相対評価を受けます。そうして実力主義の名の下に「逆転人事」が生まれました。結局、部下や年齢の近い後輩に教えるのは「損」だという文化になる。だから前に比べて、部下や後輩の育成へ無関心になりましたね。

 

――人事評価に「部下へ指導しているか」という項目はないんですか?

総合商社の中の人:人事評価でも「人材育成」という項目は形式的にはあります。但し、部下・後輩に対して叱咤激励というより、パワハラに近いことをやっていると、上役からは「熱心に指導してるじゃないか」と言われますね。逆に部下や後輩へ寄り添って自主性に任せた指導すると上役からは「もっとビシビシやってほしいんだよね」と。表面上、部下や後輩に檄を飛ばしているタイプのほうがよい評価は付きます。

 

大体、新卒採用している大多数が東大・旧帝大、早稲田・慶應卒なんだから、本質的な人材にそんな差はないんですよ。しかも上記の通り、投資業務はチームで仕事をすることが増えたので、どこまでが個人の能力による成果なのか客観的な評価が難しい。そうすると、上役の好き嫌いで人事評価が決まってもおかしくありません。均質な人材を採っておきながら逆転人事をやれば、やる気を削ぐだけです。

 

 

ここまで、総合商社の中の人さんからお伺いした内容を編集して掲載してきた。近日公開の後編では「資源・エネルギーのビジネスモデルの限界」と「そもそも商社に来る学生が最優秀層ではない理由」の2点について、語っていただく。

 

 後編はこちら↓

toianna.hatenablog.com

 

 今回お話してくださった「総合商社の中の人」はこちら

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合わせて読んでほしい記事(旧ブログのため外部サイトです)

toianna.blog.fc2.com

 

 

愛する人を、死なせてあげられなかった。家族を看取る前に知ってほしいこと

「死にたい」と祖父母が言い出したのは、10年前のことだった。

 

「もう十分生きたんだよ。」

戦争の不安に晒されながら、防空壕で『アンナ・カレーニナ』を抱えて夢を見たという。学徒出陣も当たり前になる世間で、軽い障害で逃れていた兵役に、いつ自分も呼び出されるだろうかと怯える日々。玉音放送を聴きながら「これで死ななくて済む」と安堵したそうだ。

その後の彼は、帝国主義はもうたくさんだとばかりに共産主義へ傾倒した。そのおかげで「教育は男女平等に受けるべきだ」と小さいころから絵本を読んでもらい、手作りの参考書で初等教育を叩き込まれた。私はすっかりおじいちゃん子になった。

毎日散歩を欠かさず、ロシア語の文献を読む。時には論文を投稿していることもあった。体も頭も動かしていたからか、男性にしてはかなり長寿だった。

 

それでも、体が壊れる日は来る。祖父が脳梗塞を起こした。祖父母の家の近くに住んでいたのは私だけだったので、退院後は私が一番会話していた気がする。

祖父は会う度に「死にたい」と言った。

最初はうつ病を疑ったが、どう見ても彼は理性的だった。これ以上不自由を味わうくらいならもういいんだ、と。私に彼を止める言葉は無かった。

 

それから祖父は淡々と、身辺整理を始めた。私が欲しいと言っていた本をくれた。相続の書類を第三者にわかりやすいよう整理した。葬儀社を調べて位牌の材質まで指定した。脳梗塞を起こして1年後、祖母の老老介護に限界が訪れたので介護施設へ入所し、穏やかに過ごしていた。

 

祖父が肺炎になって、もって3日だろうと連絡があったのは仕事中だった。とても重要な会議の真っ最中だったのに、手が震えてキーボードが打てなくなった。上司がリモート勤務を認めてくれた。

 

「肺炎なんて風邪みたいなものです、すぐ直りますよ」と励ます声に、祖父は「高齢者の死因3位だね」とデータに実証されたコメントを残して、家族を黙らせた。それから「もういいよ、十分生きた。頼むから、延命治療は一切しないでくれ」と、数年前から繰り返した言葉を伝えた。

 

果たして3日後、祖父は生きていた。家族が、延命治療を決断したのだ。

 

祖父が最終的に患った間質性肺炎は、息を吸っても吸った感じがせず、常に息苦しいのが症状だ。吸っても吸っても、酸素が届かない。真っ白な顔で、胸部が上下に激しく動いていた。目が留まることなく、ぐるぐる宙を舞っていた。エクソシストのようだった。

 

こんな姿になった祖父を見るのが苦しくて、涙がバカみたいに出た。それでも祖父の眼球は止まらなかった。私のことを判らないくらい苦しんでいるようだった。吸っても酸素が手に入らないなんて、ずっと溺れているのと同じだ。そんなときに、家族の声なんて悠長に聞いていられるか。

祖父はそれから2週間苦しんで、死んだ。

 

祖父が肺炎になってから、2度会えた。けれどもそのうち1度は会わなくてもよかった。苦しむ姿を見るくらいなら、本人が望むように死なせてあげればよかった。もう何年も死にたがっていた人の、願いを叶えてあげられなかった。

 

この件で、家族を責める気にもなれない。激務で倒れてからも2度しか会いに来なかった孫と違って、親族は入退院の手続きも全てやってくれた。目の前で看病していたら、少しでも長生きしてほしいと願うのは当然のことだ。

「何で私、働いてるんだろう」

と、自分のやりがいばかり考えて、東京から離れたことを後悔した。あの時、延命治療を止められるならニートでもしていれば良かった。その後、祖父が亡くなったショックで祖母が認知症を発症したのも堪えた。女の人って、夫が死んでもパリっとしてるものじゃなかったっけ。

 

新卒の会社を辞めるときに理由は複数あったが「祖母こそは、望むように死なせてあげたい」と思ったことも大きい。それから専門知識をかじって、医師は訴訟リスクを遠ざけるために延命治療をせざるを得ないこと、死は敗北だと捉えられていることを知った。

家で死にたいとリビング・ウィルを書いたって、いざ倒れた日に家族が救急車を呼べば管まみれの「患者」が誕生してしまう。胃ろうだって、家族の意思で取り付けられてしまう。かかりつけ医と契約しないまま家で心肺停止したら、変死扱いで解剖されてしまう。

 

愛する人を望むように死なせてあげたいなら、倒れる前に知らなくてはいけないことが多すぎる。足りない知識を今さら埋めながら、少しでもその事が広まれば嬉しい。

 

出会いの数を増やしても運命の人に出会えない理由:婚活戦略でわかる「リーチ」の重要性

「出会いは増やしてるんですけど、いい男性がいなくて」

こういった方にお話を伺うと、1ヶ月で5人くらいの男性には新規で出会っています。それなのにグっとこない。中には年単位で婚活を頑張っているのに前に進まず、もう結婚できなくてもいいや……と婚活疲れを起こしている人も。

 

こういった女性の何が課題なのかを調べたところ、出会いが多くても男性への「リーチ」が少ないことがわかりました。リーチって何ぞや?と大抵の方は疑問を抱えるかと思いますので、さらっと説明いたします。

 

突然ですがWeb上のバナー広告を想像してください。Yahoo!まとめサイトで目の隅に表示されていても「何の広告か」認識するのはごくわずか。表示だけでなく、広告が顧客の心に届いた数を「リーチ」と呼びます。

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図は専門用語のカタカナばかりでややこしいですが、簡単に言うと

 

  1. 見た    …インプレッション
  2. 気になった リーチ
  3. 買った   コンバージョン

 

ということで大体あってます。

 

当たり前ですが、広告は表示されなければ気になることもなく、気にしてもらえなければ購入には至りません。であれば表示回数を増やせばいいじゃないか!と思うかもしれませんが、たとえば独身者へ離乳食の広告バナーを表示させまくっても意味がありません。広告は響く相手が限られるのです。

そこで広告バナーは「出産で検索したことのあるひと」「履歴でたまごクラブ公式サイトへアクセスした人」などの条件を絞って表示させます。こうすることで、表示回数は少なくても効率的にグっとくる人へ広告を届けられるのです。

 

さて、これを婚活に重ねて見てみましょう。

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婚活パーティや異業種交流会へ行けば、簡単に男性の瞳に写った回数(インプレッション)を増やすことができます。その一方で「この前会った○○さんだ」と認識してもらうためには、ある程度じっくり知り合う必要があります。

冒頭の「出会いは多いけど、次に繋がらない人」は、じっくり話した回数(リーチ)が足りていない傾向にあるのです。誰でも合コンや婚活パーティを繰り返せば出会いの数は増えます。しかし表面的な会話を繰り返すだけでは相手の心へ届かないので「リーチ」しないのです。(超美人、スリーサイズがB102、W56、H95……といった表面でも伝わる魅力があれば話は別です)

 

また、表面的な会話では相手の中身もわかりません。「株式会社はてなにお勤めの山田太郎さん34歳、エンジニア」だけでは、自分との相性がわかる情報はひとつもありませんのでグっとくる、こないも判断できないはず。ですから出会いがあってもピンとこない人ほど、1時間喫茶店で話しこむような「リーチ」を増やす戦略へ変更したほうがよいでしょう。

 

リーチを増やすことができる出会いはこういったものがあります。

  • 食事会、料理教室など会話を中心とした趣味の集まり
  • 小規模な異業種交流会など、目の前の相手とじっくり話せるイベント
  • サンマリエやオーネットなどのお見合い式出会い支援

 

また、リーチは自分が売れる市場を認識しておけば広告と同じように出会う回数は少なくても、効率的な出会いを期待できます。そのために取れる行動はこちら。

  • 元彼をリストアップして共通点を探す
  • 友達へ自分が受ける男性の層を質問してみる

この世には、わかりやすい魅力でマス受けする女性もいる一方で「噛めば噛むほど魅力がわかる女性」や「ある特定の男性にモテまくるニッチトップな女性」がいます。婚活では全方位モテなど狙う必要はなく、運命の男性を一本釣りできれば万事オッケーです。

そういえば学者にやたら受けるな、40代のバリバリ働きたい男性にはモテるといった「自分だけのモテフィールド」を見つけてから、フィールドの中でグっと来る男性の条件を絞るほうが闇雲に出会うよりも効率的です。

これをきっかけに自分の魅力を洗い出したあなたが、独自市場を開拓できますよう願っています。

婚活のブルーオーシャン:高収入男性と結婚したいなら「重課金な男の趣味」にハマるべし

ハイスペ男子と結婚したいからと、ネイルも出刃包丁も砥いでいらっしゃる皆さまに常々抱く疑問があります。高収入男子がウヨウヨいる分野に、なぜこうも女性がいないのでしょうか?私が話しているのは別にシリコンバレーや起業のスタートアップなんていうオシャンティな話じゃありません。「男の趣味」と言われる分野です。

 

私はいわゆる「男の趣味」にハマる率が高かったのですが、周囲を見渡すと結構なハイスペがごろごろしています。列挙するだけでも外銀男子、中堅企業のCEO、医者。全員誠実で温厚な人たち。そして彼らは呟きます。「出会いが無いんですよ」と。クラブでナンパする男性には女が群がるのに、誠実な彼らこそ見向きもされない不条理……。

 

そこで、今までに出会った、ハイスペ男性ばかりが溜まっている趣味の世界を少しずつご紹介できればと思います。アニメのように「一部の重・重課金者が多い趣味」は除いて、それなりに趣味へお金を注いでいる率が高いものだけでご勘弁を。

「男の趣味」の特徴は「入り口は安く、ハマったら重課金」

「男の趣味」の最大の特徴は「ハマったら重課金」なこと。たとえば金のかかる趣味の最たるものである外車、特にフェラーリは購入しても後にいい値段で中古販売できるため「本体価格」は取り返せる算段が立ちます。しかし維持費だけで年間80万円ほどかかります……鬼か!?

と同時に、外車を愛好するだけなら安く済むのも特徴です。レーシングシュミレーターで高級車やスーパーカーの乗車を実感する施設があり、15分で3,000円台。一気に現実感のある予算になります。雑誌「Pen」でもスポーツカー特集号が出ていて、Penを定期購読していた時期に楽しく読みました。 

Pen(ペン) 2015年 6/15 号 [スポーツカーは、永遠に不滅です。]

Pen(ペン) 2015年 6/15 号 [スポーツカーは、永遠に不滅です。]

 

 

 外車に代表されるように、男性の趣味は入り口が安く、しかし一度ハマると重課金の沼にドボンするものが非常に多いのです。逆に言えば、入り口で少しだけお金を使ってから、興味を持てた趣味だけ女性も入ってゆけばいいのです。

 

若い男性が多い「男の趣味」

比較的若い男性が多い「男の趣味」はこんな分野です。

 

・ミリタリー

当時を再現した軍服を着こなすマニアから、サバイバルゲームを楽しむ派までさまざま。サバイバルゲームは少しずつ一般人にも認知が広まっている気がします。マイ武器を集め始めるとあっという間に課金沼へ。

軍服のマニアによれば「当時の布地を手に入れて、高品質な日本の裁縫技術が組み合わさるとアートができる」らしいです。歴史が現代に蘇る!何たるロマン……!

 

・腕時計

時計に電池式ではなく、手作業で作られる機械式があるのをご存知ですか? 精緻な作りの時計が多くあり、見つめているだけでうっとり重課金コース。女性ならVan Cleef & Arpelsの腕時計なら可愛さからとっつきやすいかも。まずはYoutube機械式腕時計の動画を見てピンとくれば店頭で見学するのがよさそうです。

 

・ワイン

ワイン入門のカルチャースクールにはたっぷり女性がいます。しかし参加費1万円を超える試飲会からは急に男性比率が8割へアップ。ワイン沼は自分で購入すると果てしないデスロードなので、試飲会でまずは飲み始めるのが賢い気がします。もちろんデイリーワインも美味しいので、沼は深くて広い。

 

・ウイスキー

40度以上の酒を飲める女性はそういないので、それだけで付加価値が生まれます。慣れないうちはロックで飲みましょう。「ウイスキーを始めたいんですが、加水して美味しい銘柄はありますか?」と質問すれば吉。ウイスキー自体は比較的安価ですが、オーセンティックバーに通いだすと沼の口が開きます。ただしバーで無闇に話しかけるのはマナー違反。最悪出禁になるので注意。

 

・自転車

周囲のハイスペ男子がやたらのめりこんでいる一方、女性は全然見かけないのが自転車。いきなりまともな自転車を購入すると数十万飛んでしまうので、初心者はツール・ド・フランスの観戦から始めればいいと言われました。最近は漫画「弱虫ペダル」で女性からの認知も高まっているようです。

弱虫ペダル 1 (少年チャンピオン・コミックス)

弱虫ペダル 1 (少年チャンピオン・コミックス)

 

 

・文房具

最もメジャーな趣味は万年筆。各ブランドで書き応えが全く異なり楽しみが広がります。個人的には女性の入門で WATERMAN というブランドの「オーダス」はかわいらしいしぜひ!と言いたかったのですが生産中止。書き心地だけならペリカンの「スーベレーン M1000」が個人的には好きですが、8万円……。何気に今回列挙した「男の趣味」で一番安いことが恐ろしい!

 

ダンディなシニアを狙うなら伝統芸能へ

もう少しシニア層とゆっくり仲良くなりたいなら、伝統芸能へ足を踏み入れてほしいと思います。

 

・古美術

いわゆる「骨董品」ですが、今でも日常で使えるものが沢山あります。女性はルーシー・リーの展示会あたりが入り口にいいのかも? 大抵の作品は雑誌で見たら、そのまま店頭でさわれることが魅力です。個人的には山田晶さんが好きでした。作品を入れる共箱がない作品はお手ごろ価格で購入できます。なお北大路魯山人という、ケタ1つ違う課金沼があります。

 

クラシック音楽

現地のコンサートへ行くなら旅費だけで数十万/回かかりますが、CDをdisk unionで買うだけなら1,000円未満でも楽しめる手軽な趣味です。男性ファンが多いのはブルックナーマーラーといった作曲家ですが、最初は好きな作曲家の同じ曲を違う指揮者で聞き比べるだけが穏便じゃないかと思います。なお、ここから派生してオーディオ機器へ数千万円を突っ込む人種がいます。(オーディオマニア - Wikipedia

 

★私にもう少し学があれば「お能」「相撲」という伝統芸能トップ2つについて書けたのですが力及ばず……申し訳ありません。

 

趣味へハマってくれさえすればいいんです

こういうマニアックな趣味の会で感じるのは、もはや男性狙いでもいいけど、趣味にもきちんと好きになったらいらしてくだされということです。たまに「私なんにもわかんないんですけど、いろいろ教えてください~」系女子が紛れ込んでは仲間内で火刑に処されています。

出会いだけを狙ってもすぐバレてしまう上に、そういう人にとって趣味の世界は恐ろしくつまらないでしょうから本人も不幸なはず。むしろ「あれ、ハイスペ狙いだったはずなのに、この趣味めっちゃ面白い!」と、女子人口が増えてくれれば個人的に嬉しいです。

 

★おまけ:ハイスペ女性と出会いたい男性へ★

ここまでハイスペ男性狙いの女性を読者層にして書いてきましたが、男女逆転しても言いたいことは同じです。主夫狙いの男性はぜひ女性が多くいて、かつ課金額が大きい趣味へ足を踏み入れてください。具体的には、お菓子作り教室、バレエ・オペラ、宝塚が挙げられます。マダムも多いが未婚も多いので、ぜひ。